講演情報
[P8-1-3]当科におけるロボット支援下結腸切除術の手技と短期成績
中西 良太, 沖 英次, 佐藤 昇太, 大竹 昌彦, 進 勇輝, 龍神 圭一郎, 池田 真一郎, 江端 由穂, 夏越 啓多, 播磨 朋哉, 吉山 貴之, 田中 康, 川副 徹郎, 財津 瑛子, 工藤 健介, 安藤 幸滋, 中島 雄一郎, 吉住 朋晴 (九州大学消化器・総合外科)
【背景】2022年4月本邦においてロボット支援下結腸悪性腫瘍手術が保険適応となった.【目的】当科で施行したロボット支援下結腸切除術の短期成績を後ろ向きに検討する.【対象】当科でロボット支援下に原発切除を行った結腸癌40例(2022年-2024年3月).【手術手技】まず臍部に4-5cmの小切開を置き,気腹および助手用ポートとする.同創にて腸管の切離吻合も行う(体腔外吻合).右側結腸切除は下腹部から左側腹部の4ポート,左側結腸切除は下腹部から右側腹部の4ポートとし,症例の体格や郭清血管の位置によって微調整する.右側は背側アプローチ先行であり,左半切除においてもIMA左側からの内側アプローチを外側に進めた時点で肛門側の切離予定ラインで結腸間膜と結腸を切離し,右側の背側アプローチと同様に下行結腸及び間膜を頭側へ向かって後腹膜から授動する.下行結腸が完全に授動されるため視野がよく,後腹膜からの剥離に連続する形で脾彎曲部の尾側からの剥離が容易となる.術前診断で早期癌であっても間膜に1枚薄い膜をつけて間膜の損傷を予防する.下行結腸が完全に授動されていることと,背側から網嚢内に剥離が進んでいるので,頭側からの脾彎曲授動も比較的容易である.【短期成績】年齢中央値74歳,男性48%,回盲部切除13例,右半切除12例,左半切除+下行結腸切除7例,S状結腸切除8例.p-Stage I/II/III/IV 13/11/10/6例,手術時間中央値238分,出血量中央値20g,開腹移行0%,StageIV以外の全例にR0切除が施行できていた.術後在院日数中央値11日,縫合不全を1例(S状結腸切除術),リンパ漏を1例(S状結腸切除+傍大動脈リンパ節郭清)に認めたが,その他Clavien-Dindo grade III以上の術後合併症は認めなかった.StageIVを除く全例で無再発生存中である(術後ctDNA測定8例全例negative).【結論】ロボット支援下結腸切除術は安全に導入できていた.安定した良好な視野により適切な剥離層で剥離しやすく,良好な短期成績につながっていると考えられる.