講演情報

[PD3-1]ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合の短期治療成績

眞部 祥一, 塩見 明生, 賀川 弘康, 山岡 雄祐, 笠井 俊輔, 田中 佑典, 井垣 尊弘, 島野 瑠美, 額田 卓, 森 千浩, 石黒 哲史, 坂井 義博, 髙島 祐助, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 八尾 健太, 横山 希生人 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
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【背景】結腸癌に対する体腔内吻合の良好な短期成績が多く報告されているものの,ロボット支援手術における体腔内吻合の有用性は明らかではない.
 【目的】ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合の有用性を明らかにすること.
 【対象と方法】2019年11月から2024年2月,原発性結腸癌(盲腸癌~下行結腸癌)に対してロボット支援手術を施行した263例を対象とした.姑息切除,他術式同時施行例,2か所吻合を要する多発癌,hinotori使用例は除外した.体腔内吻合(IA群)および体腔外吻合(EA群)の短期治療成績を比較検討した.
 【当院での方針】全結腸癌をロボット支援手術の対象とし,吻合は体腔内吻合を基本とする.Bulkyな腫瘍,前処置が十分でない症例は体腔外吻合を選択する.手術前日に機械的前処置(ピコスルファートナトリウム)および化学的前処置(MNZ+KM)を施行する.
 【手術手技】臍部小開腹を先行.授動・郭清を行い,体腔内で間膜処理,腸管切離を行う.吻合前に小開腹創より標本を摘出し,残便が多い場合は体腔外吻合を選択する.自動縫合器は腹腔鏡用デバイスを使用し助手が操作する.
 【結果】IA群123例,EA群140例.年齢:IA群71歳 vs. EA群74歳(p<0.01),性別(男性/女性):62/61 vs. 66/74例(p=0.62),BMI:23.5 vs. 22.4 kg/m2(p=0.01).腫瘍局在(C/A/T/D):13/57/34/19 vs. 12/68/43/17例(p=0.78),cT(T1/T2/T3/T4):37/14/44/28 vs. 27/15/36/62例(p<0.01),cN(N0/N+):75/48 vs. 63/77例(p=0.01).IA群の吻合法は,Overlap 82例(66.7%),FEEA 6例(4.9%),デルタ29例(23.6%),DST 6例(4.9%).術式(右側結腸切除/横行結腸切除/左側結腸切除):87/13/23 vs. 97/20/23例(p=0.62),手術時間:199 vs. 188分(p=0.07),出血量:0 vs. 0 ml(p=0.10),他臓器合併切除:7 vs. 21例(p=0.02).経口摂取開始:3 vs. 3日(p=0.15),術後合併症Clavien-Dindo Grade≥II:7例(5.7%)vs. 18例(12.9%)(p=0.06),Grade≥III:1例(0.8%)vs. 3例(2.1%)(p=0.63).郭清リンパ節個数,PM,DMに両群で有意差なし.IA群3例,EA群1例で腹膜播種再発を認めた.
 【結語】ロボット支援結腸癌手術における体腔内吻合は安全に施行可能であり,症例に応じて選択しうる有用な吻合法である.