講演情報

[P12-2-5]大腸癌初回肝転移切除後再発・再々発症例の検討

長谷川 昂1, 三吉 範克2, 竹田 充伸2, 関戸 悠紀2, 波多 豪2, 浜部 敦史2, 荻野 崇之2, 植村 守2, 土岐 祐一郎2, 江口 英利2 (1.大阪大学大学院消化器外科学II, 2.大阪大学医学部附属病院消化器外科)
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【背景】StageIV大腸癌では遠隔転移と原発巣ともに切除可能な場合には遠隔転移巣と原発巣の双方の切除を考慮する必要がある.切除可能な大腸癌初回肝転移症例に関しては,肝切除後の5年生存率は35-58%と比較的良好な結果が得られている.一方で切除時期に関しては,同時切除・異時切除のどちらの方が長期予後を改善するかに一定の見解は得られていない.また肝切除後の再発症例に関連する因子に関しても報告は少ない.
今回,当院で大腸癌初回肝転移切除症例に対して後方視的に検討し,肝転移切除後再発症例・再々発症例に関して検討した.
【方法】2012年1月から2018年12月までに,当院で大腸癌肝転移に対して肝切除術を施行した67例を解析対象とした.初回肝転移切除後の再発の有無の比較,初回肝転移切除後に再発した症例のうち初回肝転移切除のみの症例と2回以上切除した症例の比較,初回肝転移切除後再発に対して再肝切除した症例の再発の有無の比較を検討した.
【結果】
初回肝転移切除症例を対象した解析では,肝転移のみの再発に関しては,原発巣因子として性別・腫瘍局在・組織型・リンパ管侵襲・静脈侵襲・RAS変異に有意差は認めなかった.一方,肝転移以外の再発因子としては,pT4(p=0.004)・長時間手術(p=0.05)・原発巣と肝転移巣同時手術(p=0.016)・初回肝転移切除複数個(p=0.037)で有意に再発を認めた.
初回肝転移切除後の再発患者を対象とした総肝切除回数の比較では,直腸原発・RAS変異・初回肝転移巣の長時間手術が初回肝転移切除再発に対して手術治療を選択しない傾向を認めた.
2回目肝切除後の再発の有無の比較では,初回肝転移切除の長時間手術と出血量が多い症例で再発の傾向を認め,肝内のみの再発に関しては原発巣手術時のCEA高値で有意に再発を認めた.
【結語】大腸癌肝転移切除後再発・再々発症例の背景因子の後方視的な検討を行った.さらなる症例数での検討が必要である.