講演情報

[P4-2-4]切除不能大腸癌患者に対する体組成分析の予後予測能としての評価とrelative dose intensityとの関連の検討

加藤 梨佳子1, 宮本 裕士1, 小野 明日香2, 前田 裕斗2, 大内 繭子2, 小川 克大2, 日吉 幸晴2 (1.熊本中央病院, 2.熊本大学病院消化器外科学)
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【背景】
生体電気インピーダンス法(BIA法)を用いた体組成分析は患者の全身状態をモニターする方法であり,病状と関連しているとされる.今回,切除不能大腸癌(mCRC)に対する治療前体組成分析結果と炎症性マーカーの関連が予後に関係するか解析した.
【方法】
2009/11~2022/12までに当科で一次化学療法を導入し,治療前にInBody 770を用いて体組成を測定しているmCRC164例を対象とし,骨格筋量,体脂肪量,除脂肪体重,蛋白質,ミネラル,細胞外水分/全身水分(ECW/TBW)を算出した.各測定値を四分点で4群(Q1-4)に分け,全生存期間(OS)・無再発生存期間(PFS),各投与薬剤(5-FU,oxaliplatin,irinotecan,bevacizumab,anti-EGFR body)のrelative dose intensity(RDI)との関連を検討した.
【結果】
患者背景は年齢中央値=64,男:女(人)=78:86,PS 0-1:2=151:13,同時性:異時性転移=116:48,原発部位 右側:左側・直腸=44:120,転移臓器数 単:多臓器=95:69,RAS 野生型:変異型=91:67,抗VEGF薬:抗EGFR薬:なし=121:32:11であった.各体組成別にCox比例ハザードにてOSの解析を行うとECW/TBWのみ多変量解析でも有意差を認めた(Q4 vs. Q1-Q3,HR=2.56;95%CI=1.49-4.38,p<0.001).ECW/TBW(Q1-4)の患者背景は,年齢(70歳以上/以下)にのみ有意差を認めた(p<0.001).Kaplan Meier生存解析ではECW/TBWが高い患者はOS・PFS共に有意に予後不良であった(OS中央値:Q1=38.6ヵ月[M],Q2=31.4M,Q3=32.1M,Q4=19.1M,p<0.001),(PFS中央値:Q1=10.5M,Q2=10.6M,Q3=7.9M,Q4=8.3M,p=0.03).投与薬剤のRDIと体組成の関連を解析すると,体組成は投与薬剤のRDIと有意に関連しており,特にオキサリプラチンは体脂肪量以外の全ての因子で有意差があった.
【結語】
mCRCに対するBIA法を用いた体組成分析は,予後予測のみならず,化学療法の投与量とも関連しており有効な効果予測マーカーとなりえる.