講演情報
[R2-1]閉塞性大腸癌に対しBridge to surgeryとして大腸ステントを留置した患者において留置後ステント再閉塞を生じた6症例の検討
實近 侑亮, 小川 淳宏, 久戸瀬 洋三, 細田 洋平, 金 浩敏, 小川 稔 (多根総合病院)
【背景】閉塞性大腸癌に対する大腸ステント留置は,2012年に保険収載されて以降,我が国で広く行われている.しかし,穿孔,閉塞などの留置後偶発合併症の発生が危惧されており,大腸癌治療ガイドラインでは留置の推奨は消極的な扱いとなっている.これまで,合併症の発生率を含めた,ステント留置症例の検討は数多の報告がなされているが,留置後再閉塞例に焦点を絞って比較,検討を示した報告は少ない.今回我々は,当院で過去3年間に閉塞性大腸癌に対しBridge to surgery(BTS)目的にステント留置を行った後,手術までの待機期間中に再閉塞を来した症例を検討した.
【方法】2020年1月から2024年3月までに,当院で閉塞性大腸病変に対しBTS目的に大腸ステントを挿入した83症例のうち,留置後再閉塞を生じた6症例を対象とした.占居部位,Stage,留置前及び留置後の大腸閉塞スコア,留置後再閉塞までの緩下剤投与や栄養指導の有無,再閉塞後までの期間,閉塞後の処置などをもとに,再閉塞の発生リスク因子を考察した.
【結果】平均年齢は71.5歳(48~82歳),男性3名,女性3名であった.占居部位は上行結腸/横行結腸/S状結腸:2/3/1例,病期はpStageII/III:4/2であった.留置後大腸閉塞スコアは全例でCROSS4まで改善を認めた.ステント挿入後に常用的に緩下剤を投与した症例は2例,栄養指導を行った症例は1例であり,いずれも肝彎または脾彎曲部の症例であった.大腸ステント留置から再閉塞までの日数中央値は12(5-30)日であり,5症例で一時帰宅中に再閉塞を発症した.閉塞後待機手術までの治療は,全例で絶食・輸液加療を行い,さらに減圧目的に経鼻イレウス管を挿入した症例が1例であった.
【考察】全症例に共通する因子は認められなかったが,待機手術までの一時退院中に再閉塞を生じ,緊急入院となる症例が多く認められた.ステント挿入後の常用的な緩下剤の服用や,食事内容が閉塞リスクを低下させる可能性は高い.また肝彎・脾彎曲部など,屈曲の強い部位にステント先端が位置する症例では,拡張効果が減弱する可能性が高く,そのような症例ではより継続的な画像フォローや,より早期の追加介入が必要であると考えらえた.
【方法】2020年1月から2024年3月までに,当院で閉塞性大腸病変に対しBTS目的に大腸ステントを挿入した83症例のうち,留置後再閉塞を生じた6症例を対象とした.占居部位,Stage,留置前及び留置後の大腸閉塞スコア,留置後再閉塞までの緩下剤投与や栄養指導の有無,再閉塞後までの期間,閉塞後の処置などをもとに,再閉塞の発生リスク因子を考察した.
【結果】平均年齢は71.5歳(48~82歳),男性3名,女性3名であった.占居部位は上行結腸/横行結腸/S状結腸:2/3/1例,病期はpStageII/III:4/2であった.留置後大腸閉塞スコアは全例でCROSS4まで改善を認めた.ステント挿入後に常用的に緩下剤を投与した症例は2例,栄養指導を行った症例は1例であり,いずれも肝彎または脾彎曲部の症例であった.大腸ステント留置から再閉塞までの日数中央値は12(5-30)日であり,5症例で一時帰宅中に再閉塞を発症した.閉塞後待機手術までの治療は,全例で絶食・輸液加療を行い,さらに減圧目的に経鼻イレウス管を挿入した症例が1例であった.
【考察】全症例に共通する因子は認められなかったが,待機手術までの一時退院中に再閉塞を生じ,緊急入院となる症例が多く認められた.ステント挿入後の常用的な緩下剤の服用や,食事内容が閉塞リスクを低下させる可能性は高い.また肝彎・脾彎曲部など,屈曲の強い部位にステント先端が位置する症例では,拡張効果が減弱する可能性が高く,そのような症例ではより継続的な画像フォローや,より早期の追加介入が必要であると考えらえた.