講演情報
[O23-3]腹膜播種を伴う大腸癌に対する外科的切除を含めた集学的アプローチ
川副 徹郎, 中西 良太, 財津 瑛子, 工藤 健介, 中島 雄一郎, 安藤 幸滋, 沖 英次, 吉住 朋晴 (九州大学大学院消化器・総合外科)
【背景】腹膜播種を伴っていても局所切除を行うことで良好な予後が得られる症例も経験する.当院では治療開始時に他臓器転移を認めないP1に対しては手術先行,P1/P2でも切除可能と判断した場合はR0切除を目指した化学療法を行う方針としている.
【目的】当院における腹膜播種を伴う大腸癌の治療成績を後ろ向きに検討する.
【対象】2013年1月から2021年12月までに当科で診療を開始したStageIV大腸癌225例(BSC症例は除く),うち治療開始時に腹膜播種を伴っていた42例(18.7%).
【結果】年齢中央値62歳,男性が18例(40.4%),同時性転移/異時性転移:33例(78.6%)/9例(21.4%),右側/左側:14例(33.3%)/28例(66.7%),治療開始時に腹膜播種以外の遠隔転移を有する症例28例(66.7%),P1/P2/P3:18例(42.9%)/9例(21.4%)/15例(35.7%).経過観察期間中央値20.2か月.StageIV大腸癌のうち,腹膜播種を有する症例は腹膜播種を認めない症例と比較して有意に全生存期間が短かった(3年生存率:43.4% vs 58.3%,P=0.012).P1に対して手術を先行した症例が5例,化学療法後に腹膜播種を含めR0手術を試みた症例が6例あった.手術を行なった11例のうちR0切除が9例,R1が1例,R2が1例であった.R0-R1切除を行った10例のうち,7例で再発を認めた(3例は無治療で無再発生存中).再発部位は肺4例,播種3例,リンパ節1例,脳1例,脾臓1例(重複あり)であった.全生存期間の単変量解析では,RAS変異型(vs野生型,HR:0.37(0.14-0.97),P=0.04),P1症例(vsP2もしくはP3症例,HR:0.30(0.12-0.76),P=0.01),R0またはR1を行った症例(vsR2または化学療法のみ,HR:0.24(0.07-0.81),P=0.02)で予後良好であった.
【結論】腹膜播種を有するStageIV大腸癌のうち,P1症例や,R0またはR1手術を行なった症例では予後良好であった.また腹膜播種の切除により根治したと考えられる症例が認められた.腹膜播種に対する外科的切除を行う症例の選択,適切な手術時期や薬物療法の選択など,今後さらなる症例の蓄積が必要である.
【目的】当院における腹膜播種を伴う大腸癌の治療成績を後ろ向きに検討する.
【対象】2013年1月から2021年12月までに当科で診療を開始したStageIV大腸癌225例(BSC症例は除く),うち治療開始時に腹膜播種を伴っていた42例(18.7%).
【結果】年齢中央値62歳,男性が18例(40.4%),同時性転移/異時性転移:33例(78.6%)/9例(21.4%),右側/左側:14例(33.3%)/28例(66.7%),治療開始時に腹膜播種以外の遠隔転移を有する症例28例(66.7%),P1/P2/P3:18例(42.9%)/9例(21.4%)/15例(35.7%).経過観察期間中央値20.2か月.StageIV大腸癌のうち,腹膜播種を有する症例は腹膜播種を認めない症例と比較して有意に全生存期間が短かった(3年生存率:43.4% vs 58.3%,P=0.012).P1に対して手術を先行した症例が5例,化学療法後に腹膜播種を含めR0手術を試みた症例が6例あった.手術を行なった11例のうちR0切除が9例,R1が1例,R2が1例であった.R0-R1切除を行った10例のうち,7例で再発を認めた(3例は無治療で無再発生存中).再発部位は肺4例,播種3例,リンパ節1例,脳1例,脾臓1例(重複あり)であった.全生存期間の単変量解析では,RAS変異型(vs野生型,HR:0.37(0.14-0.97),P=0.04),P1症例(vsP2もしくはP3症例,HR:0.30(0.12-0.76),P=0.01),R0またはR1を行った症例(vsR2または化学療法のみ,HR:0.24(0.07-0.81),P=0.02)で予後良好であった.
【結論】腹膜播種を有するStageIV大腸癌のうち,P1症例や,R0またはR1手術を行なった症例では予後良好であった.また腹膜播種の切除により根治したと考えられる症例が認められた.腹膜播種に対する外科的切除を行う症例の選択,適切な手術時期や薬物療法の選択など,今後さらなる症例の蓄積が必要である.