講演情報
[P23-1-1]腹腔鏡下直腸後方固定術(Wells法)後の再発に対し再手術を施行した4例についての検討
象谷 ひとみ1, 山本 徹2, 井上 圭亮2, 石飛 一成2, 谷浦 隆仁2, 髙井 清江2, 百留 亮治1, 日髙 匡章2 (1.雲南市立病院, 2.島根大学医学部消化器・総合外科)
【はじめに】
直腸脱手術は,再発率の低さから全身麻酔が可能な場合は経腹アプローチが推奨されている.我々は2013年から腹腔鏡下直腸後方固定術Wells法(以下Wells手術)を導入し,直腸腸脱手術既往のある症例にも施行している.今回,Wells手術後再発に対する再手術例について,検討を行ったので報告する.
【対象・方法】
2013年から2023年に直腸脱に対してWells手術を施行した24例中,直腸脱手術既往,中でもWells手術既往のあった4例を対象とし,患者背景,術中所見,術後成績について検討した.
【結果】
患者背景は,男女比0:4,年齢,手術時間,出血量の中央値はそれぞれ76[33-96]歳,257[245-449]分,5[5-300]mlであった.
術中所見では,メッシュと仙骨の固定はいずれも問題なく,メッシュと腸管の固定が外れているものが2例,メッシュと腸管の固定や癒着が十分であるにもかかわらず再発しているものが2例であった.全例でメッシュと腸管の固定に吸収糸が使用されていた.メッシュと腸間膜の癒着が十分であるが再発をきたした2例の脱出腸管長はそれぞれ,前回術前10,10cm,再手術前5,5cmと多少の固定効果を認めており,直腸の引き上げが不十分だった可能性や直腸間膜と直腸壁の可動性が大きかった可能性が考えられた.
術中の工夫として,メッシュ・腸管再固定の際は非吸収糸を使用した.また,前回手術でHiatal ligamentは未切除であったため,切離をした上で十分に引き上げを行った.また腹側も腹膜翻転部を切開し,前回より肛門側まで剥離することで対応した.
現在のところこの4例の再発は認めていない.
【結論】
Wells法の再発原因として,①不十分なメッシュ・腸管固定②不十分な直腸の引き上げ③直腸固有筋膜とメッシュの癒着は強固であっても,直腸間膜内と腸管の可動性が大きいことの3項目が可能性として挙げられた.
初回Wells手術の注意点として,腸管・メッシュ固定は非吸収糸を用いること,脱出が高度な直腸脱には十分な引き上げを行うため膣と直腸間の十分な剥離と,Hiatal ligamentの切離が必要であると考えられた.一方,再発症例に対するWells手術は大きな合併症もなく施行可能と考えられた.
直腸脱手術は,再発率の低さから全身麻酔が可能な場合は経腹アプローチが推奨されている.我々は2013年から腹腔鏡下直腸後方固定術Wells法(以下Wells手術)を導入し,直腸腸脱手術既往のある症例にも施行している.今回,Wells手術後再発に対する再手術例について,検討を行ったので報告する.
【対象・方法】
2013年から2023年に直腸脱に対してWells手術を施行した24例中,直腸脱手術既往,中でもWells手術既往のあった4例を対象とし,患者背景,術中所見,術後成績について検討した.
【結果】
患者背景は,男女比0:4,年齢,手術時間,出血量の中央値はそれぞれ76[33-96]歳,257[245-449]分,5[5-300]mlであった.
術中所見では,メッシュと仙骨の固定はいずれも問題なく,メッシュと腸管の固定が外れているものが2例,メッシュと腸管の固定や癒着が十分であるにもかかわらず再発しているものが2例であった.全例でメッシュと腸管の固定に吸収糸が使用されていた.メッシュと腸間膜の癒着が十分であるが再発をきたした2例の脱出腸管長はそれぞれ,前回術前10,10cm,再手術前5,5cmと多少の固定効果を認めており,直腸の引き上げが不十分だった可能性や直腸間膜と直腸壁の可動性が大きかった可能性が考えられた.
術中の工夫として,メッシュ・腸管再固定の際は非吸収糸を使用した.また,前回手術でHiatal ligamentは未切除であったため,切離をした上で十分に引き上げを行った.また腹側も腹膜翻転部を切開し,前回より肛門側まで剥離することで対応した.
現在のところこの4例の再発は認めていない.
【結論】
Wells法の再発原因として,①不十分なメッシュ・腸管固定②不十分な直腸の引き上げ③直腸固有筋膜とメッシュの癒着は強固であっても,直腸間膜内と腸管の可動性が大きいことの3項目が可能性として挙げられた.
初回Wells手術の注意点として,腸管・メッシュ固定は非吸収糸を用いること,脱出が高度な直腸脱には十分な引き上げを行うため膣と直腸間の十分な剥離と,Hiatal ligamentの切離が必要であると考えられた.一方,再発症例に対するWells手術は大きな合併症もなく施行可能と考えられた.