講演情報
[P1-2-2]放射線治療後の直腸切断術会陰創に対する予防的陰圧閉鎖療法の有用性
佐伯 崇史, 安井 昌義, 深井 智司, 藤井 悠花, 森 良太, 北風 雅俊, 末田 聖倫, 賀川 義規, 西村 潤一, 大植 雅之 (大阪国際がんセンター)
背景:直腸癌・肛門管癌に対する腹会陰式直腸切断術(abdominoperineal resection:APR)における会陰創感染は約39-57%に生じると言われる.更に,放射線治療既往は会陰創感染のリスク因子として報告されている.会陰創感染が生じると,QOLの低下,術後補助療法の遅延,医療費の増加と言った問題点が生じるため,その予防は重要な課題である.APR術後会陰創感染の予防に対して,閉鎖陰圧療法(以下,Negative Pressure Wound Therapy:NPWT)の有用性が報告されている.しかし,これまでの後方視的観察研究の結果には相違があり,APR術後会陰創に対する予防的NPWTの使用に関しては,現時点では議論の余地があると考える.そこで今回,我々は会陰創感染ハイリスク群である放射線療法既往例に対する予防的NPWTの有用性について検討した.
対象:2005年から2023年に当院で,直腸癌・肛門管癌に対してAPRを施行した症例の内,術前放射線治療施行例,根治的化学放射線治療試行後の再発例,局所再発に対する術前放射線治療施行例,計43例を対象とした.内,筋皮弁再建術,大網充填術施行例3例を除外した.従来の創傷管理を施行した22例(Control群)と予防的NPWTを使用した18例(NPWT群)を後方視的に比較検討した.
方法:Control群は従来通りの管理を施行した.NPWT群は術直後から術後7.5(5-27)日目まで,NPWTを使用した.NPWTは全例でKCI-V.A.CⓇを使用した.
結果:背景について,NPWT群で有意に高齢であったが,BMI,栄養状態(Alb値,PNI),基礎疾患,原発巣の進行度について両群で有意差は認めなかった.術後管理について,ドレーン留置期間,術後予防的抗生剤使用期間に両群で有意差は認めなかった.会陰創感染はNPWT群で3例(16.7%),Control群で11例(50.0%)(p=0.046)であり,NPWT群で有意に少なかった.在院日数の中央値(範囲)はcontrol群で30.5(10-159)日,NPWT群で19.5(12-91)日であり,control群で延長する傾向を認めた(p=0.051).
結語:放射線治療後にAPRを施行した症例に対して,予防的NPWTを使用することで会陰創感染を予防し,在院日数を短縮する可能性が示唆された.
対象:2005年から2023年に当院で,直腸癌・肛門管癌に対してAPRを施行した症例の内,術前放射線治療施行例,根治的化学放射線治療試行後の再発例,局所再発に対する術前放射線治療施行例,計43例を対象とした.内,筋皮弁再建術,大網充填術施行例3例を除外した.従来の創傷管理を施行した22例(Control群)と予防的NPWTを使用した18例(NPWT群)を後方視的に比較検討した.
方法:Control群は従来通りの管理を施行した.NPWT群は術直後から術後7.5(5-27)日目まで,NPWTを使用した.NPWTは全例でKCI-V.A.CⓇを使用した.
結果:背景について,NPWT群で有意に高齢であったが,BMI,栄養状態(Alb値,PNI),基礎疾患,原発巣の進行度について両群で有意差は認めなかった.術後管理について,ドレーン留置期間,術後予防的抗生剤使用期間に両群で有意差は認めなかった.会陰創感染はNPWT群で3例(16.7%),Control群で11例(50.0%)(p=0.046)であり,NPWT群で有意に少なかった.在院日数の中央値(範囲)はcontrol群で30.5(10-159)日,NPWT群で19.5(12-91)日であり,control群で延長する傾向を認めた(p=0.051).
結語:放射線治療後にAPRを施行した症例に対して,予防的NPWTを使用することで会陰創感染を予防し,在院日数を短縮する可能性が示唆された.