講演情報
[PD7-5]切除不能進行再発直腸癌におけるがん遺伝子パネルの有用性の検討
奥川 喜永1,2, 北嶋 貴仁1,2, 志村 匡信2, 家城 英治2, 嶌村 麻生2, 水野 成2, 山下 真司2, 市川 崇2, 浦谷 亮2, 今岡 裕基2, 川村 幹雄2, 安田 裕美2, 大北 喜基2, 坪井 順也1, 藤原 拓海1, 望木 郁代1, 吉山 繫幸2, 大井 正貴2, 問山 裕二2 (1.三重大学病院ゲノム医療部, 2.三重大学大学院消化管・小児外科学講座)
【目的】がん遺伝子パネル検査は本邦においても全固形癌で保険提供可能となり,2022年の大腸癌治療ガイドライン改訂に伴いその位置づけが明記されている.しかし,進行再発直腸癌における,その有用性はいまだ不透明な部分が多い.今回,当院における保険診療がん遺伝子パネル検査の結果を振り返り,特に直腸癌における有用性を検討する.
【方法】当院で2019年12月より2023年7月までに当院で保険診療がん遺伝子パネル検査を提供した全固形癌948例の結果から直腸癌に特に注目しその有用性を検討した.
【成績】年齢は生後7カ月から89歳まで提供しており,小児28例,成人920例だった.提供したパネルの種類はNCCオンコパネル:135例,FoundationOneCDx:598例,FoundationOneLiquidCDx:214例,Gardant360:1例で,解析成功率は全体で97.5%だった.また全固形癌での薬剤選択到達率は13.1%だった.全固形癌の中で結腸直腸癌は最多で175例(結腸癌107例,直腸癌68例)施行しており,結腸癌では組織パネルが92%,血液パネルが8%だった一方,直腸癌では組織パネル79.3%,血液パネル20.7%と有意に血液パネルが多く(P=0.01),その背景に5年以上の組織劣化に加え,術前化学放射線療法に伴う組織検体不良が大きな要因となっていた.結腸直腸癌での解析成功率は全体で98.9%であり,RAS/RAF変異は結腸癌58.4%,直腸癌55.2%と大きな相違はなく,Druggableな病的バリアント検出率は結腸癌30.2%,直腸癌38.8%,薬剤選択到達率は結腸癌16.9%,直腸癌20.9%と,いずれも有意差はなく,直腸癌は結腸癌とほぼ同等の結果だった.また薬剤選択の内訳は保険承認内薬剤が結腸癌で13.2%,直腸癌は16.4%と最も高く,そのほかに治験や患者申出療養制度の薬剤到達が,結腸癌2.8%,直腸癌3%と,ともに保険適応内薬の次に同程度で高かった.
【結論】直腸癌においても結腸癌同様にがん遺伝子パネル検査は有用だが,組織パネルの重要性とTNT導入による術前化学放射線療法が広がる現状を考慮すると,治療前生検検体が重要となる.
【方法】当院で2019年12月より2023年7月までに当院で保険診療がん遺伝子パネル検査を提供した全固形癌948例の結果から直腸癌に特に注目しその有用性を検討した.
【成績】年齢は生後7カ月から89歳まで提供しており,小児28例,成人920例だった.提供したパネルの種類はNCCオンコパネル:135例,FoundationOneCDx:598例,FoundationOneLiquidCDx:214例,Gardant360:1例で,解析成功率は全体で97.5%だった.また全固形癌での薬剤選択到達率は13.1%だった.全固形癌の中で結腸直腸癌は最多で175例(結腸癌107例,直腸癌68例)施行しており,結腸癌では組織パネルが92%,血液パネルが8%だった一方,直腸癌では組織パネル79.3%,血液パネル20.7%と有意に血液パネルが多く(P=0.01),その背景に5年以上の組織劣化に加え,術前化学放射線療法に伴う組織検体不良が大きな要因となっていた.結腸直腸癌での解析成功率は全体で98.9%であり,RAS/RAF変異は結腸癌58.4%,直腸癌55.2%と大きな相違はなく,Druggableな病的バリアント検出率は結腸癌30.2%,直腸癌38.8%,薬剤選択到達率は結腸癌16.9%,直腸癌20.9%と,いずれも有意差はなく,直腸癌は結腸癌とほぼ同等の結果だった.また薬剤選択の内訳は保険承認内薬剤が結腸癌で13.2%,直腸癌は16.4%と最も高く,そのほかに治験や患者申出療養制度の薬剤到達が,結腸癌2.8%,直腸癌3%と,ともに保険適応内薬の次に同程度で高かった.
【結論】直腸癌においても結腸癌同様にがん遺伝子パネル検査は有用だが,組織パネルの重要性とTNT導入による術前化学放射線療法が広がる現状を考慮すると,治療前生検検体が重要となる.