講演情報
[O11-5]ロボット支援腹腔鏡下S状結腸切除/前方切除術におけるハーモニックACEインストゥルメントおよび腹腔鏡手術用ステイプラーの有用性
高橋 佑典, 徳山 信嗣, 河合 賢二, 俊山 礼志, 山本 昌明, 酒井 健司, 竹野 淳, 濱 直樹, 宮﨑 道彦, 平尾 素宏, 加藤 健志 (国立病院機構大阪医療センター外科)
当科ではda Vinci Xiを用いたロボット支援腹腔鏡下大腸癌手術を導入し,S状結腸癌,直腸S状部癌に対しても積極的にロボット支援下手術を行なっている.S状結腸切除術,高位前方切除術においては,3rd arm用鉗子として主にハーモニックACEインストゥルメントを使用している.一般には,monopolar curved scissors(MCS)により腸間膜授動およびリンパ節郭清の操作を行い,腸間膜処理をVessel sealer extendで行うこと多いと思われる.腸間膜授動において,MCSと比較すると先端の関節がないこと,先端の大きさからファインな操作がしづらいことが欠点として上げられるが,ロボット支援下手術特有の安定した術野展開,視野のもとでは,それらの欠点は克服可能であり,MCSに劣らない精緻な授動操作を行うことができる.一方で,3rd armの右手鉗子で組織を把持できること,止血力に優れるため出血しにくいことが利点としてあげられる.また,腸間膜処理において,鉗子を交換することなく,そのまま使用できることが利点として上げられる.また,脾湾曲授動における大網切離においても有用である.MCS,Vessel Sealer Extendが不要であるためコスト面で優れる.肛門側腸管切離においては腹腔鏡用ステイプラーを用いる.ロボット用ステイプラーを使用する場合,ポートから近接した位置での切離となり操作性の問題が生じるが,助手が60mmの腹腔鏡手術用ステイプラーを用いて腸管切離を行うことで,ほとんどの症例で1回での切離が可能であり,安定した切離・吻合に寄与するのみでなく,コスト面でも優れる.これまでに7例で同術式を行い,良好な短期成績を得た.症例集積中ではあるが,特に高BMIで術野展開が困難である症例,出血しやすい症例などでその有用性が高いと思われる.今後は,S状結腸以外の症例に対しても適応拡大することを検討している.当科におけるハーモニックAceインストゥルメントを使用したロボット支援腹腔鏡下S状結腸切除術/前方切除術のビデオを供覧する.