講演情報

[P14-2-6]StageIVa,CurB手術後早期再発したMSI-H大腸癌に対し,Pembrolizumabが奏功し休薬後長期寛解を得ている1例

德武 輝, 須田 竜一郎, 柳澤 真司, 片岡 雅章, 西村 真樹, 小林 壮一, 岡庭 輝, 中臺 英里, 藤野 真史, 大野 幸恵, 進藤 博俊, 田口 航大, 滝口 翔太, 近藤 尚, 白石 健太, 海保 隆 (国保直営総合病院君津中央病院外科)
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【はじめに】Pembrolizumabは,PD-1(programmed cell death-1)リガンドであるPD-L1及びPD-L2との結合を直接阻害する,ヒト化IgG4モノクローナル抗体である.本邦においては,KEYNOTE-177試験並びにKEYNOTE-164試験 コホートBを評価資料として,2021年8月に「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」の保険承認を取得し,大腸癌に対して臨床応用されるようになった.しかしながら,その長期的な成績については明らかではない.
 【症例】77歳女性.74歳時,血便を主訴に当院受診.精査にて,S状結腸癌と診断された.術前CTで,腹壁への広範な直接浸潤,#241・242・252リンパ節への転移,傍大動脈リンパ節および横行結腸間膜リンパ節への転移を認めた.cT4b(腹壁)N3M1(LYM)cStageIVaの診断で,腹壁合併切除を伴う結腸亜全摘および傍大動脈リンパ節郭清が施行された.病理診断では,Por,p4b(腹壁,横行結腸),Ly1c,V1c,Pn1b,pPM0,pDM0,pRM0,pN3(13/37)[ND 3,ND(V+)1,ND(Pn+)1であり,最終病期はIIIcと診断された.術後補助化学療法としてCapox療法が導入されたが,術後2ヶ月目に傍大動脈および上腸間膜動脈領域に再発腫瘤を認め,全身化学療法の適応と判断された.コンパニオン診断としてMSI検査を行い,MSI-Hと判定されたため,Pembrolizumab投与が開始された.Pembrolizumab投与1ヶ月後のCTでは再発腫瘍径は最大37mmまで増大したが,3ヶ月後のCTでは28mmまで縮小した.その後も経時的に腫瘍径は縮小し,12ヶ月後には増強効果を受けない軟部組織様の低吸収域となり,最大径15mmまで縮小した.PS 2であり,腫瘍縮小効果が持続していたことからPembrolizumab投与を中止した.Pembrolizumab中止後も軟部組織様の低吸収域は経時的に縮小し,現在,Pembrolizumab中止後15ヶ月経過しているが,軟部組織様の低吸収域は最大径8mmまで縮小し,再発の兆候は認められていない.
 【まとめ】
 大腸癌根治切除後,早期再発を来した症例に対してPembrolizumab投与により腫瘍縮小効果が得られ,同薬中止後も長期寛解を維持している1例を経験したので報告する.