講演情報
[O20-4]横行結腸癌に対する頭側アプローチ先行“Japanese D3”
足立 利幸, 井上 悠介, 三好 敬之, 川口 雄太, 久芳 さやか, 曽山 明彦, 小林 和真, 金高 賢悟, 足立 智彦, 江口 晋 (長崎大学大学院移植・消化器外科)
背景
横行結腸癌は腫瘍の局在によって,リンパ節郭清領域,アプローチ法の選択に工夫が必要となる.特に中結腸動脈領域が郭清のターゲットとなる場合,解剖が多様であることや胃結腸静脈幹(gastrocolic trunk:GCT)や上腸間膜静脈(superior mesenteric vein:SMV)などの出血コントロールに難渋する血管が走行しており繊細かつ確実な郭清操作が求められる.当科においては中結腸動脈領域を郭清領域とする場合,頭側アプローチを先行し,横行結腸間膜を完全に腸間膜化することで確実なcentral vascular ligation(CVL)ならびに適切なcomplete mesocolic excision(CME)を両立したいわゆる“Japanese D3”を安全かつ確実に遂行する工夫を報告している(Adachi T, Eguchi S et al, Colorectal Disease, 2024).今回横行結腸癌に対する頭側アプローチ先行での安全かつ根治性の高いD3郭清を提示する.
手術手順
① 大網切除し網嚢を開放する.網嚢右界に向けて剥離を進め,膵下縁をメルクマールに横行結腸間膜を腸間膜化する.
② 右大網静脈,副右結腸静脈,GCTの走行を明らかなにし,膵下縁でSMV前面を露出しGCTの流入部であるSurgical trunk上縁ならびに中結腸静脈のSMV流入部まで剥離を行う.
③ 横行結腸間膜をマタドール展開し回結腸動静脈分岐部からSMV前面を露出し中結腸動脈分岐部へ向けて223リンパ節郭清を行う.
④ 腫瘍から10cmのマージンを確認し,適切な間膜切離ラインでのCMEと確実に栄養血管の走行を確認したCVLを行う.
考察
中結腸動脈根部領域のリンパ節郭清を行う際,膵臓,胃結腸静脈幹,中結腸静脈を頭側から剥離を先行することで223リンパ節を含む横行結腸間膜が完全に腸間膜化されるため尾側からの郭清を安全に行うことか可能となる.
結語
横行結腸癌に対する頭側アプローチ先行での横行結腸間膜の完全な腸間膜化は,CVLとCMEを両立したJapanese D3を安全に行うことができる有用なアプローチである.
横行結腸癌は腫瘍の局在によって,リンパ節郭清領域,アプローチ法の選択に工夫が必要となる.特に中結腸動脈領域が郭清のターゲットとなる場合,解剖が多様であることや胃結腸静脈幹(gastrocolic trunk:GCT)や上腸間膜静脈(superior mesenteric vein:SMV)などの出血コントロールに難渋する血管が走行しており繊細かつ確実な郭清操作が求められる.当科においては中結腸動脈領域を郭清領域とする場合,頭側アプローチを先行し,横行結腸間膜を完全に腸間膜化することで確実なcentral vascular ligation(CVL)ならびに適切なcomplete mesocolic excision(CME)を両立したいわゆる“Japanese D3”を安全かつ確実に遂行する工夫を報告している(Adachi T, Eguchi S et al, Colorectal Disease, 2024).今回横行結腸癌に対する頭側アプローチ先行での安全かつ根治性の高いD3郭清を提示する.
手術手順
① 大網切除し網嚢を開放する.網嚢右界に向けて剥離を進め,膵下縁をメルクマールに横行結腸間膜を腸間膜化する.
② 右大網静脈,副右結腸静脈,GCTの走行を明らかなにし,膵下縁でSMV前面を露出しGCTの流入部であるSurgical trunk上縁ならびに中結腸静脈のSMV流入部まで剥離を行う.
③ 横行結腸間膜をマタドール展開し回結腸動静脈分岐部からSMV前面を露出し中結腸動脈分岐部へ向けて223リンパ節郭清を行う.
④ 腫瘍から10cmのマージンを確認し,適切な間膜切離ラインでのCMEと確実に栄養血管の走行を確認したCVLを行う.
考察
中結腸動脈根部領域のリンパ節郭清を行う際,膵臓,胃結腸静脈幹,中結腸静脈を頭側から剥離を先行することで223リンパ節を含む横行結腸間膜が完全に腸間膜化されるため尾側からの郭清を安全に行うことか可能となる.
結語
横行結腸癌に対する頭側アプローチ先行での横行結腸間膜の完全な腸間膜化は,CVLとCMEを両立したJapanese D3を安全に行うことができる有用なアプローチである.