講演情報

[R18-3]ロボット支援下に切除した直腸平滑筋肉腫の2例

益永 あかり, 稲田 涼, 坂本 真也, 井上 弘章, 吉岡 貴裕, 三村 直毅, 髙田 暢夫, 田渕 幹康, 佐藤 琢爾 (高知医療センター消化器外科・一般外科)
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【緒言】直腸平滑筋肉腫は直腸悪性腫瘍のうち0.1%未満の非常に希少な疾患である.成因として骨盤内放射線照射との関連も指摘されており,その頻度は12-25%と報告されている.他の悪性腫瘍と比べて予後不良であり,局所再発や肝臓や肺への血行性転移による再発が多い.化学療法や放射線療法の有効性は確立していないため,確実な外科切除が必須である.
【症例1】76歳男性.前立腺癌に対し,2019年に前立腺全摘術,2021年に再発病変に対し,放射線治療(66Gy)が行われていた.腹痛,下痢の精査のために施行した下部消化管内視鏡検査で,直腸Raに内腔を占拠する1型腫瘍を指摘された.2023年12月にロボット支援下低位前方切除術を施行した(手術時間225分,出血量125mL).術後の病理組織検査で直腸平滑筋肉腫と診断された.
【症例2】93歳女性.貧血と体重減少の精査のために施行した下部消化管内視鏡検査で直腸RSに亜全周性の2型腫瘍を指摘されたが,生検では悪性所見は認めなかった.ロボット支援下ハルトマン手術を施行した(手術時間200分,出血量110mL).腫瘍部の直腸は子宮及び両側付属器と強固に固着ており,浸潤が示唆されたため,合併切除した.術後の病理組織検査で直腸平滑筋肉腫と診断された.
【結語】直腸平滑筋肉腫に対して,ロボット支援下に切除した2例を経験した.粘膜下腫瘍のため術前診断は困難な場合が多いが,非典型的な肉眼型の腫瘍であっても悪性腫瘍を考慮し,確実な外科切除を行う必要がある.実際の症例を提示するとともに,文献的考察を加えて報告する.