講演情報
[P11-1-1]治療法に苦悩した,びまん性肛門管尖圭コンジローマの1例
高嶋 吉浩, 斎藤 健一郎, 宗本 義則 (福井県済生会病院外科)
【はじめに】
肛門尖圭コンジローマはHPVが原因の感染症の一つである.治療法として切除術や液体窒素・CO2レーザー・電気メス焼灼等が有効とされている.また抗ウイルス剤のイミキモドクリーム(Imiquimod)が使用されているが,外性器と肛門周囲の疣贅が適応とされており肛門管内病変は適応にはされていない.
今回,びまん性肛門管内尖圭コンジローマに対してImiquimod塗布と内視鏡的焼灼を繰り返すという治療法を選択した症例を経験した.
【症例】
40歳代,女性,便潜血陽性にて他医にて201X年TCS施行され,肛門管に乳頭状腫瘍認め生検にて尖圭コンジローマと診断された.Imiquimod 16週間投与を2サイクル受けるも残存するため当科に紹介となった.
【初診時所見】
SFにて2mm程度の小隆起を数個認めるも,縮小中の可能性ありと考えそのまま経過観察としたが,3ヶ月後にやや増悪・多発化していた.
【検査】
特記すべき所見なし.HIVも陰性であった.
【治療経過】
びまん性に多発しているため,外科的切除は困難と判断し,Imiquimod 16週塗布4サイクルとSF下の焼灼を繰り返す方針とした.
1か月毎にSF施行して,乳頭状隆起病変を焼灼した.当初は10箇所程度の焼灼が必要であったが,徐々に乳頭状隆起減少し,治療開始から1年3か月で内視鏡上は明らかなコンジローマ病変を認めなくなった.しかし,生検では治療開始3年が経過した時点においてもコンジローマの存在が示唆される所見が継続した.
【考察】
肛門管内の尖圭コンジローマは肛門周囲と違いImiquimod塗布の明らかな適応とは言えず,またびまん性のため切除手術も困難と考えられる.本症例は内視鏡上のコンジローマ所見が消失するのに1年以上を要し,生検でも3年経過後もコンジローマの存在が継続していた.Imiquimod長期使用による安全性は確認されておらずウイルスの耐性化なども心配されるため,他の有効な治療法の開拓が必要と思われた.
【結語】
本症例の様なびまん性の肛門管内尖圭コンジローマに対して,Imiquimod塗布と定期的な焼灼を繰り返すという治療を選択したが,もっと有効で安全性を担保した治療法を模索する必要性を感じた.
肛門尖圭コンジローマはHPVが原因の感染症の一つである.治療法として切除術や液体窒素・CO2レーザー・電気メス焼灼等が有効とされている.また抗ウイルス剤のイミキモドクリーム(Imiquimod)が使用されているが,外性器と肛門周囲の疣贅が適応とされており肛門管内病変は適応にはされていない.
今回,びまん性肛門管内尖圭コンジローマに対してImiquimod塗布と内視鏡的焼灼を繰り返すという治療法を選択した症例を経験した.
【症例】
40歳代,女性,便潜血陽性にて他医にて201X年TCS施行され,肛門管に乳頭状腫瘍認め生検にて尖圭コンジローマと診断された.Imiquimod 16週間投与を2サイクル受けるも残存するため当科に紹介となった.
【初診時所見】
SFにて2mm程度の小隆起を数個認めるも,縮小中の可能性ありと考えそのまま経過観察としたが,3ヶ月後にやや増悪・多発化していた.
【検査】
特記すべき所見なし.HIVも陰性であった.
【治療経過】
びまん性に多発しているため,外科的切除は困難と判断し,Imiquimod 16週塗布4サイクルとSF下の焼灼を繰り返す方針とした.
1か月毎にSF施行して,乳頭状隆起病変を焼灼した.当初は10箇所程度の焼灼が必要であったが,徐々に乳頭状隆起減少し,治療開始から1年3か月で内視鏡上は明らかなコンジローマ病変を認めなくなった.しかし,生検では治療開始3年が経過した時点においてもコンジローマの存在が示唆される所見が継続した.
【考察】
肛門管内の尖圭コンジローマは肛門周囲と違いImiquimod塗布の明らかな適応とは言えず,またびまん性のため切除手術も困難と考えられる.本症例は内視鏡上のコンジローマ所見が消失するのに1年以上を要し,生検でも3年経過後もコンジローマの存在が継続していた.Imiquimod長期使用による安全性は確認されておらずウイルスの耐性化なども心配されるため,他の有効な治療法の開拓が必要と思われた.
【結語】
本症例の様なびまん性の肛門管内尖圭コンジローマに対して,Imiquimod塗布と定期的な焼灼を繰り返すという治療を選択したが,もっと有効で安全性を担保した治療法を模索する必要性を感じた.