講演情報
[SR4-2]更なる低侵襲化が期待される直腸癌に対するロボット支援手術
廣川 高久, 奥山 晃世, 加藤 龍太郎, 庭本 涼佑, 吉川 朋佳, 斎藤 健志, 上野 修平, 今藤 裕之, 宮井 博隆, 山本 稔, 小林 建司, 田中 守嗣, 木村 昌弘 (刈谷豊田総合病院消化器外科)
【背景】直腸癌に対するロボット支援手術は保険収載以降,その手術件数は急速に増加している.当院でも直腸癌の全例をその適応としており,現在までに220例を超える症例を経験してきた.腹腔鏡手術に対する直腸癌に対するロボット支援の優越性に関しては未だ一定の見解は得られてないのが現状であるが,その有用性に関しては多くの外科医で実感しているものと考える.今回,患者に対するメリットがあるのか検討したい.
【方法】2017年から2023年までに直腸癌に対して腹腔鏡ないしロボット手術で行った症例で他臓器合併切除,前治療,側方郭清や開腹移行を行っていない293例を後方視的に検討した.
【結果】293例のうちロボット手術(R群)150例,腹腔鏡手術(L群)143例であった.手術時間及び出血量の中央値はR群 280分:10ml,L群 233分:10mlでロボット手術は手術時間が有意に長かった(P<0.005:P=0.18).術翌日の白血球数及びCRPの中央値はR群 9350/μl:4.17mg/dl(以下単位省略),L群 9000:4.73で有意にR群でCRPが低値であった(P=0.24,P=0.02).また術後3日目の白血球数及びCRPはR群 7000/μl:3.910mg/dl(以下単位省略),L群 7300:4.785で有意にR群でCRPが低値であった(P=0.32,P<0.01).術翌日から3日目にかけての白血球数およびCRPの変化量は有意差はないもののR群で大きい結果であった(R:L,-2300:-1900 P=0.054,-0.18:-0.11 p=0.83).さらにR群を前期(2017~2021 n=72)と後期(2022~2023 n=78)で術後3日目のCRPを比較すると前期 4.545,後期 2.91と後期で有意に低値であった(P<0.01).
【考察】ロボット支援手術はその特徴から精緻な手術が可能である.外科医にとってメリットの大きいアプローチ法であることは多く報告されている.今回の検討で腹腔鏡手術と比較して術後の炎症反応が低く抑えられ,回復も早いことが示唆される結果であった.また成熟を重ねることでさらに低侵襲化されることが伺えた.ロボット支援手術は外科医,患者にとっても腹腔鏡を超えて低侵襲であると考える.これらは確実なembryological planeに沿った手術がもたらす結果と考えている.embryological planeを意識した手術ビデオを供覧する.
【方法】2017年から2023年までに直腸癌に対して腹腔鏡ないしロボット手術で行った症例で他臓器合併切除,前治療,側方郭清や開腹移行を行っていない293例を後方視的に検討した.
【結果】293例のうちロボット手術(R群)150例,腹腔鏡手術(L群)143例であった.手術時間及び出血量の中央値はR群 280分:10ml,L群 233分:10mlでロボット手術は手術時間が有意に長かった(P<0.005:P=0.18).術翌日の白血球数及びCRPの中央値はR群 9350/μl:4.17mg/dl(以下単位省略),L群 9000:4.73で有意にR群でCRPが低値であった(P=0.24,P=0.02).また術後3日目の白血球数及びCRPはR群 7000/μl:3.910mg/dl(以下単位省略),L群 7300:4.785で有意にR群でCRPが低値であった(P=0.32,P<0.01).術翌日から3日目にかけての白血球数およびCRPの変化量は有意差はないもののR群で大きい結果であった(R:L,-2300:-1900 P=0.054,-0.18:-0.11 p=0.83).さらにR群を前期(2017~2021 n=72)と後期(2022~2023 n=78)で術後3日目のCRPを比較すると前期 4.545,後期 2.91と後期で有意に低値であった(P<0.01).
【考察】ロボット支援手術はその特徴から精緻な手術が可能である.外科医にとってメリットの大きいアプローチ法であることは多く報告されている.今回の検討で腹腔鏡手術と比較して術後の炎症反応が低く抑えられ,回復も早いことが示唆される結果であった.また成熟を重ねることでさらに低侵襲化されることが伺えた.ロボット支援手術は外科医,患者にとっても腹腔鏡を超えて低侵襲であると考える.これらは確実なembryological planeに沿った手術がもたらす結果と考えている.embryological planeを意識した手術ビデオを供覧する.