講演情報

[O7-5]当院におけるT4大腸癌の手術成績と長期予後

有働 竜太郎, 林 くらら, 小坂 亜優, 筋野 博喜, 福島 元太郎, 田子 友哉, 笠原 健大, 真崎 純一, 永川 裕一 (東京医科大学消化器小児外科分野)
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背景:T4大腸癌は,他のステージと比較して高い再発率と遠隔転移率を持つ.局所再発率は約25%,遠隔転移率は50%以上に達すると報告されている.ASCO,ESMO,NCCNのガイドラインにおいて,T4は再発の高リスク因子とされ,R0切除の達成は全生存期間(OS)と無再発生存期間(RFS)に重要な影響を与える.5年OSは約30%,RFSは約20%とされる.
方法:2000年から2019年までに当院で手術を受けたStage1-3の大腸癌患者1002名を対象に後方視的検討を行った.患者はpT4(進行ステージ)とpT1-T3(非進行ステージ)に分類し,それぞれの群の予後データを解析した.観察期間の中央値は2068日であった.
結果:患者の背景データ(年齢,BMI,緊急手術の有無,腸閉塞,主病巣,手術方法,郭清度,出血量,手術時間,最大径,リンパ節採取数,リンパ節転移個数,stage,術前・術後化学療法の実施,合併症の有無,SSI,縫合不全,CEA,CA19-9,WBC,好中球,リンパ球,単球,血小板,TP,Alb,CRP,術後在院日数,por/sig,R0切除率)に基づいて比較分析を行った.多変量解析では,出血量,リンパ節転移個数,リンパ球数,女性が有意な因子であった.5年OSはT4群が68.6%,T1-3群が87.2%で,T4群の生存期間は有意に短かった(Log Rank検定 P<0.001).5年RFSもT4群で有意に短かった.T4のみのサブグループ解析ではOS,RFSでは差は認めなかった.
結論:T4大腸癌の長期予後は依然として不良であり,リンパ節転移のリスク因子として考えられた.この結果を踏まえ,精緻な手術手技によるR0切除はもちろんのこと,年齢やリスクを考慮した術後化学療法の導入により,再発抑制に努めるべきである.