講演情報

[O1-7]頻回再発直腸癌に対し,頻回手術は予後に貢献できるか?―恥骨合併切除の術式を含めて―

小森 康司1, 吉田 雅博2, 筑紫 聡2, 木下 敬史1, 佐藤 雄介1, 大内 晶1, 伊藤 誠二1, 安部 哲也1, 三澤 一成1, 伊藤 友一1, 夏目 誠治1, 檜垣 栄治1, 浅野 智成1, 奥野 正隆1, 藤枝 裕倫1, 清水 泰博1 (1.愛知県がんセンター消化器外科部, 2.愛知県がんセンター整形外科部)
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【目的】当科における頻回再発直腸癌に頻回手術した症例の予後および恥骨合併切除術式を供覧.
 【対象】2012年1月から2024年3月で直腸癌局所再発手術を2回以上施行した18例.内訳は再発手術群(2回/3回/4回/5回)で(8例/6例/3例/1例).
 【方法】(1)原発手術からの全生存率,(2)原発手術からの累積無局所再発率(局所再発巣が存在しない期間の合計),(3)各手術から次の再発までの期間.
 【結果】(1)5年全生存率は全症例82.1%,再発手術群(2回/3回/4回/5回)で(87.5%/83.3%/100.0%/100.0%,p=0.722)(2)5年累積無局所再発率は全症例53.3%,再発手術群(2回/3回/4回/5回/全症例)で(33.3%/50.0%/100.0%/100.0%,p=0.094)(3)各手術から次の再発までの期間(日)は,(原発手術から1回目再発:n=18/1回目再発手術から2回目再発:n=18/2回目再発手術から3回目再発:n=10/3回目再発手術から4回目再発:n=4/4回目再発手術から5回目再発:n=1)で(1034±836/603±753/361±363/261±267/460,p=0.036)であり,再発頻度が高くなるにつれ,無再発状態の期間が優位に短い.
 【5回再発手術症例】49歳,男性.2014年前医で腹腔鏡下直腸低位前方切除術.2016年吻合部再発で精嚢合併切除腹会陰式直腸切断術(1回目再発手術).2020年7月大動脈周囲リンパ節再発でリンパ節切除(2回目).2020年9月右尿管膀胱流入部再発で膀胱部分切除術+右腎尿管摘出術(3回目).2022年尿道再発で膀胱前立腺摘出術+回腸導管造設術(4回目).2023年尿道断端(恥骨背側)再発で手術施行(5回目).
 【術式】手術時間438分,出血量2100ml.(1)陰茎睾丸を摘出する紡錘形ラインで下腹部正中へ連続させ皮膚切開.(2)腫瘤背側をSurgical marginを確保しつつ仙骨前面側面剥離.(3)骨切離ラインの両側恥坐骨表面を露出し血管テープを通す.(4)睾丸周囲の皮膚を温存し睾丸露出.(7)会陰からも腫瘤両側を剥離し,両外側の組織を術中迅速病理検査に提出し癌陰性を確認.(8)Surgical Threadwire Sawで両側恥坐骨切離し腫瘤摘出.
 【結語】頻回再発手術の予後は比較的良好であり,外科治療の選択は意義があると思われた.また恥坐骨合併切除はSurgical marginを十分確保でき,習得すべきと考えられた.