講演情報

[P14-1-7]大腸癌術後補助化学療法の治療成績~若年者と高齢者の比較~

山口 峻, 塩塚 高史, 久保 飛翔, 布下 裕基, 前川 恭一郎, 杉山 望, 蒲原 行雄 (長崎県島原病院)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景と目的】
進行大腸癌に対する術後補助化学療法(以下AC)の,年齢による治療効果・有害事象発生に明らかな指標はない.当院でのAC適応症例に対する治療成績を報告する.
【方法】
対象は2014年1月~2020年12月に,大腸癌(直腸癌除く)に対して手術を施行したハイリスクStageII~IIIcの167例.75歳以上の高齢者(A群:91例),75歳未満の非高齢者(B群:76例)に分類.背景因子(年齢,性別,ASA-PS,BMI,基礎疾患有無,血液因子,腫瘍因子,周術期因子),AC関連因子(AC施行率,オキサリプラチン(OX)併用率,完遂率,有害事象発生率),予後因子(全生存率(OS),無病生存期間(RFS))においてそれぞれ後方視的に検討を行った.P<0.05を統計学的有意とした.
【結果】
高齢者(A群)で基礎疾患が多く(p<0.0001),ASAPS,ECOGPSが不良であり,BMI低値,eGFR低値,ALB低値,CEA高値だった.腫瘍因子(Stage,組織型)に有意差を認めなかった.手術因子では,若年で腹腔鏡手術が多かったが,手術時間,出血量,周術期合併症に有意差は無かった.AC関連因子では,施行率(A群33%:B群 83%),OX併用率(A群 17%:B群 57%)で有意差を認め(p<0.0001),中断率(A群 33%:B群 16%)と高齢者で多い傾向であった(p=0.052).G2以上有害事象はA群 57%,B群 17%であり高齢者が多かった(p<0.001).予後では,3年RFS(A群 81%:B群 77%),OS(A群 84%:B群 90%)で差を認めなかった.また,中断なく完遂出来た例(A群:20例,B群:53例)では3年RFS(A群 84%:B群 79%),OS(A群 90%:B群 92%)と同等な予後となった.
【結語】
高齢者に対するACの治療効果は期待されるが,一方でOX併用率が低いにも関わらず有害事象発生率が高いため注意も要する.