講演情報
[P9-2-1]Seton治療中の二次孔外側に新規痔瘻を呈した,痔核,肛門ポリープを合併した1症例
中山 瑶子, 玉木 加歩, 三浦 法理人, 山口 峰一 (大田市立病院外科)
【はじめに】複数の肛門病変を持つ場合,どの病変を優先し治療すべきか,難渋することがある.今回我々は,2か所の痔瘻,内痔核,外痔核,肛門ポリープ病変を持つ患者にseton治療を優先したところ,外痔核成分の増悪と,さらに新規痔瘻形成を来した症例を経験したので報告する.
【症例】51歳男性,体重減少の精査のために下部内視鏡検査を施行したところ,肛門ポリープを指摘され当院に紹介となった.肛門診察にて,1時方向(陰嚢基部)と5時方向に二次孔を認める,いずれも低位筋間痔瘻を2病変認めるほか,7時方向に肛門ポリープと3時方向に内痔核を認めた.複数の肛門疾患に対し2期的手術を計画し,まずは痔瘻根治術(seton法)を行った.術翌日にtight setonによる1時方向の外痔核の増悪が出現したためにloose setonに変更し,治療継続していたところ,初回手術より4か月で1時方向のsetonの二次孔より外側にさらに新規痔瘻病変を認めた.初回手術から8か月で再手術となった.その際の肛門病変は①1時方向に痔瘻(二次孔)及び外痔核,②5時方向に痔瘻(二次孔)および内痔核,③7時方向に肛門ポリープおよび内痔核,であった.腰椎麻酔下に①旧痔瘻の瘻管のcoring outと外痔核切除,および外側方向の新規痔瘻のcoring outと,くりぬいた部分には二重のloose setonをかけた.②5時方向の瘻管は切除し,瘻管毎7時方向の病変も併せて肛門ポリープおよび内痔核を痔核根治術に準じて切除し,粘膜は半閉鎖とした.術後1か月で肛門部分の上皮化が進み,1時方向の二重のloose setonをtight setonにし,10日目で脱落,二回目の手術後2か月で創はすべて瘢痕化した.経過中,便失禁を含め,排便障害は認めなかった.
【考察】複数の肛門病変がある場合には,肛門機能を温存することを前提に,個々の病変に対してどのようなアプローチにより治療を行うか,術後の創をイメージしつつ,十分に評価する必要がある.
【症例】51歳男性,体重減少の精査のために下部内視鏡検査を施行したところ,肛門ポリープを指摘され当院に紹介となった.肛門診察にて,1時方向(陰嚢基部)と5時方向に二次孔を認める,いずれも低位筋間痔瘻を2病変認めるほか,7時方向に肛門ポリープと3時方向に内痔核を認めた.複数の肛門疾患に対し2期的手術を計画し,まずは痔瘻根治術(seton法)を行った.術翌日にtight setonによる1時方向の外痔核の増悪が出現したためにloose setonに変更し,治療継続していたところ,初回手術より4か月で1時方向のsetonの二次孔より外側にさらに新規痔瘻病変を認めた.初回手術から8か月で再手術となった.その際の肛門病変は①1時方向に痔瘻(二次孔)及び外痔核,②5時方向に痔瘻(二次孔)および内痔核,③7時方向に肛門ポリープおよび内痔核,であった.腰椎麻酔下に①旧痔瘻の瘻管のcoring outと外痔核切除,および外側方向の新規痔瘻のcoring outと,くりぬいた部分には二重のloose setonをかけた.②5時方向の瘻管は切除し,瘻管毎7時方向の病変も併せて肛門ポリープおよび内痔核を痔核根治術に準じて切除し,粘膜は半閉鎖とした.術後1か月で肛門部分の上皮化が進み,1時方向の二重のloose setonをtight setonにし,10日目で脱落,二回目の手術後2か月で創はすべて瘢痕化した.経過中,便失禁を含め,排便障害は認めなかった.
【考察】複数の肛門病変がある場合には,肛門機能を温存することを前提に,個々の病変に対してどのようなアプローチにより治療を行うか,術後の創をイメージしつつ,十分に評価する必要がある.