講演情報
[O12-7]リンパ球関連全身性炎症マーカーの大腸癌における長期予後予測マーカーとしての有用性の検討
横井 圭悟1, 柴木 俊平1, 池村 京之介1, 渡部 晃子1, 横田 和子1, 小嶌 慶太1, 田中 俊道1, 古城 憲1, 三浦 啓寿1, 山梨 高広1, 佐藤 武郎2, 内藤 剛1 (1.北里大学医学部下部消化管外科学, 2.北里大学医学部附属医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門)
【背景】大腸癌においてリンパ球/単球比(LMR),リンパ球/CRP比(LCR),Prognostic Nutrition Index(PNI)などのリンパ球に関連する全身性炎症マーカーと長期予後についての報告が多数認められている.しかしながらいずれのマーカーがより有用かについては議論が分かれている.
【目的】本研究の目的は大腸癌における全身性炎症マーカーの長期予後予測における有用性を明らかにすることである.
【対象と方法】2014年から2017年に根治的手術を施行されたStage II,III大腸癌445例を対象として後ろ向きに解析した.術前血液検査を用いてLMR,LCR,PNIを算出しそれぞれを四分位点で分類(q1-q4)して無再発生存を比較した.各マーカーを統合するためにそれぞれの四分位でq1は1点q2は2点q3は3点q4は4点としてスコア化し,3マーカーの合計スコア(3点から12点)によって統合マーカーを分類した.生存解析にはKaplan Meier法とCoxの比例ハザードモデルを用いた.
【結果】6つのマーカーのうちPNIのみがq1からq4にかけて3年無再発生存率が順番通りに分布した(q1:66.7%,q2:72.5%,q3:75.8%,q4:83.4%).統合マーカーにおいては11点と12点の群で3年無再発生存が87.8%,90.5%と非常に良好であったため,3点から10点を低値群,11点と12点を高値群に分類した.年齢,性別,補助化学療法,T因子,N因子,統合マーカーを含めた多変量解析では統合マーカー低値が独立した予後不良因子であった(ハザード比2.45,95%信頼区間1.13-5.32).Stage IIとIIIでそれぞれ解析すると,単変量解析ではいずれのステージでも優位に統合マーカー低値群が予後不良であったが,多変量解析ではStage IIのみにおいて独立した予後不良因子であった.
【結語】リンパ球に関連した全身性炎症マーカーのうちPNIが比較的有用なマーカーと考えられた.3マーカーを統合した場合にさらに有用なマーカーとなることが示唆された.
【目的】本研究の目的は大腸癌における全身性炎症マーカーの長期予後予測における有用性を明らかにすることである.
【対象と方法】2014年から2017年に根治的手術を施行されたStage II,III大腸癌445例を対象として後ろ向きに解析した.術前血液検査を用いてLMR,LCR,PNIを算出しそれぞれを四分位点で分類(q1-q4)して無再発生存を比較した.各マーカーを統合するためにそれぞれの四分位でq1は1点q2は2点q3は3点q4は4点としてスコア化し,3マーカーの合計スコア(3点から12点)によって統合マーカーを分類した.生存解析にはKaplan Meier法とCoxの比例ハザードモデルを用いた.
【結果】6つのマーカーのうちPNIのみがq1からq4にかけて3年無再発生存率が順番通りに分布した(q1:66.7%,q2:72.5%,q3:75.8%,q4:83.4%).統合マーカーにおいては11点と12点の群で3年無再発生存が87.8%,90.5%と非常に良好であったため,3点から10点を低値群,11点と12点を高値群に分類した.年齢,性別,補助化学療法,T因子,N因子,統合マーカーを含めた多変量解析では統合マーカー低値が独立した予後不良因子であった(ハザード比2.45,95%信頼区間1.13-5.32).Stage IIとIIIでそれぞれ解析すると,単変量解析ではいずれのステージでも優位に統合マーカー低値群が予後不良であったが,多変量解析ではStage IIのみにおいて独立した予後不良因子であった.
【結語】リンパ球に関連した全身性炎症マーカーのうちPNIが比較的有用なマーカーと考えられた.3マーカーを統合した場合にさらに有用なマーカーとなることが示唆された.