講演情報
[P20-2-5]当院における原発性虫垂癌9例の検討
岩瀬 友哉1, 阪田 麻裕1, 高木 徹1, 立田 協太1, 杉山 洸裕1, 小嶋 忠浩1, 赤井 俊也1, 鳥居 翔2, 深澤 貴子3, 佐藤 正範2, 倉地 清隆1, 竹内 裕也1 (1.浜松医科大学外科学第二講座, 2.浜松医科大学外科学第一講座, 3.磐田市立総合病院外科)
【緒言・目的】原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり,本邦での大腸癌手術例における虫垂癌の頻度は0.2%と報告されている.虫垂癌は,術前診断が困難な場合が多く,術後に診断される症例も少なくない.虫垂癌は,標準治療が確立されておらず,大腸癌に準じた治療が行われることが多い.今回我々は当院におけるLow-grade appendiceal mucinous neoplasmを除く虫垂癌症例を後方視的に検討することを目的とした.
【対象】2012年1月から2024年3月までに当院で手術を行った7例と他院で手術を行った後に当科通院中の2例の計9例を対象とした.
【結果】観察期間中央値は21(9-88)ヶ月,年齢中央値は73(58-83)歳,男女比は4:5であった.受診契機は腹痛が6例で,3例は偶発的に診断された.術中所見で,3例に穿孔を認めた.術式は回盲部切除術5例,虫垂切除術2例,虫垂切除術・両側付属器切除術1例,骨盤内臓全摘術1例で,4例は腹腔鏡下に行われた.虫垂切除術を行った1例で,後日,回盲部切除術が行われた.リンパ節郭清はD3/D2/D1/D0/DXがそれぞれ3例/1例/0例/3例/2例であった.病理組織学的検査結果は,詳細不明の1例を除き全例腺癌で,muc/por/tub1/tub2が5例/1例/1例/1例であった.深達度はT1-T4aが各1例,T4bが4例で,リンパ節転移は郭清を行った5例中1例に認めた.病期はStageI/II/III/IVが2例/4例/0例/3例であった.StageIVの3例は大腸癌に準じて化学療法を行ったが全例死亡,生存期間中央値は16(12-88)ヶ月であった.StageI-IIIの6例は全例が無再発生存中である.
【考察】虫垂癌は,大腸癌と比してT4症例が多く,虫垂癌の85.7%がT3以深の症例であったとの報告もあり,早期発見が困難な疾患といえる.しかし,T4症例であっても根治切除可能であった症例では,良好な予後を得ており,また,集学的治療により長期生存を得たStageIV症例も存在する.虫垂癌は症例数が少なく標準治療が確立されていないが,適切な治療を行うことで,長期生存の可能性が期待できる.
【対象】2012年1月から2024年3月までに当院で手術を行った7例と他院で手術を行った後に当科通院中の2例の計9例を対象とした.
【結果】観察期間中央値は21(9-88)ヶ月,年齢中央値は73(58-83)歳,男女比は4:5であった.受診契機は腹痛が6例で,3例は偶発的に診断された.術中所見で,3例に穿孔を認めた.術式は回盲部切除術5例,虫垂切除術2例,虫垂切除術・両側付属器切除術1例,骨盤内臓全摘術1例で,4例は腹腔鏡下に行われた.虫垂切除術を行った1例で,後日,回盲部切除術が行われた.リンパ節郭清はD3/D2/D1/D0/DXがそれぞれ3例/1例/0例/3例/2例であった.病理組織学的検査結果は,詳細不明の1例を除き全例腺癌で,muc/por/tub1/tub2が5例/1例/1例/1例であった.深達度はT1-T4aが各1例,T4bが4例で,リンパ節転移は郭清を行った5例中1例に認めた.病期はStageI/II/III/IVが2例/4例/0例/3例であった.StageIVの3例は大腸癌に準じて化学療法を行ったが全例死亡,生存期間中央値は16(12-88)ヶ月であった.StageI-IIIの6例は全例が無再発生存中である.
【考察】虫垂癌は,大腸癌と比してT4症例が多く,虫垂癌の85.7%がT3以深の症例であったとの報告もあり,早期発見が困難な疾患といえる.しかし,T4症例であっても根治切除可能であった症例では,良好な予後を得ており,また,集学的治療により長期生存を得たStageIV症例も存在する.虫垂癌は症例数が少なく標準治療が確立されていないが,適切な治療を行うことで,長期生存の可能性が期待できる.