講演情報
[O18-5]閉塞性大腸癌に対する大腸ステント留置の有用性
加藤 龍太郎, 廣川 高久, 奥山 晃世, 庭本 涼佑, 吉川 朋佳, 齊藤 健志, 上野 修平, 今藤 裕之, 宮井 博隆, 山本 稔, 小林 建司, 田中 守嗣, 木村 昌弘 (刈谷豊田総合病院)
【背景】閉塞性大腸癌に対する自己拡張型メタリックステントを用いた術前減圧は,Bridge to surgeryとして有用であると報告されている.一方,腹膜播種など長期予後への懸念から,大腸ステントの有用性についてはいまだ一定の見解が得られていない.
【目的】閉塞性大腸癌に対する術前減圧の必要性及びステント留置の有用性を検討すること.
【方法】2010年から2023年に原発性大腸癌手術を受けた2184例のうち,腫瘍性腸閉塞を呈した187例を対象とし,患者背景,手術成績,予後について後方視的に検討した.
【結果】187例のうち,術前減圧が良好であった症例は157例,不良症例は30例であった.減圧不良群において,左側結腸癌は22例(76.9%)と有意に多かった(P=0.028).手術成績において減圧良好群は,出血量中央値(233ml vs.249ml,P=0.00485),緊急手術の有無(13.3% vs.69.2%,P<0.0001),腹腔鏡下での手術完遂率(80.1% vs.43.3%,P=0.000129),術後在院日数中央値(9日 vs.12日,P=0.00649),人工肛門造設の有無(21.8% vs.46.7%,P=0.0107)においていずれも有意に良好であった.次にチューブ群と,ステント留置群のうち,留置困難例2例(6.5%)を除いたもの(84例:29例)の比較を行った.ステント群では左側結腸病変が有意に多く,(46.4% vs.79.3%,P=0.0239),減圧は有意に良好であった(83.3% vs 100%,P=0.0192).手術に関して,腹腔鏡下での手術完遂率は優位に良好であった(76.1% vs.96.5%,P=0.0132).また全体の再発率や,腹膜播種の割合について,両群で有意差は認めなかった.そして無再発生存期間に有意差は認めなかったが,5年生存率はステント群が有意に良好であった(55.6% vs 90.2%,P=0.0244).
【考察】大腸ステント留置は,手術時の開腹への移行率を減らし,人工肛門造設を回避できることから,閉塞性大腸癌に対する減圧方法として有用であると考える.ステント留置により,腹膜播種を含めた再発率を高めることなく,長期予後の改善が期待できる可能性がある.
【目的】閉塞性大腸癌に対する術前減圧の必要性及びステント留置の有用性を検討すること.
【方法】2010年から2023年に原発性大腸癌手術を受けた2184例のうち,腫瘍性腸閉塞を呈した187例を対象とし,患者背景,手術成績,予後について後方視的に検討した.
【結果】187例のうち,術前減圧が良好であった症例は157例,不良症例は30例であった.減圧不良群において,左側結腸癌は22例(76.9%)と有意に多かった(P=0.028).手術成績において減圧良好群は,出血量中央値(233ml vs.249ml,P=0.00485),緊急手術の有無(13.3% vs.69.2%,P<0.0001),腹腔鏡下での手術完遂率(80.1% vs.43.3%,P=0.000129),術後在院日数中央値(9日 vs.12日,P=0.00649),人工肛門造設の有無(21.8% vs.46.7%,P=0.0107)においていずれも有意に良好であった.次にチューブ群と,ステント留置群のうち,留置困難例2例(6.5%)を除いたもの(84例:29例)の比較を行った.ステント群では左側結腸病変が有意に多く,(46.4% vs.79.3%,P=0.0239),減圧は有意に良好であった(83.3% vs 100%,P=0.0192).手術に関して,腹腔鏡下での手術完遂率は優位に良好であった(76.1% vs.96.5%,P=0.0132).また全体の再発率や,腹膜播種の割合について,両群で有意差は認めなかった.そして無再発生存期間に有意差は認めなかったが,5年生存率はステント群が有意に良好であった(55.6% vs 90.2%,P=0.0244).
【考察】大腸ステント留置は,手術時の開腹への移行率を減らし,人工肛門造設を回避できることから,閉塞性大腸癌に対する減圧方法として有用であると考える.ステント留置により,腹膜播種を含めた再発率を高めることなく,長期予後の改善が期待できる可能性がある.