講演情報
[R18-2]転移性上行結腸悪性黒色腫の1例
延廣 征典, 亀山 仁史, 山本 潤, 窪田 晃, 岩谷 昭, 山崎 俊幸 (新潟市民病院消化器外科)
【はじめに】悪性黒色腫はメラニン産生細胞より発生する悪性腫瘍であり,皮膚に発生することが多く,他臓器転移を来しやすく予後不良な疾患である.今回我々は,悪性黒色腫の上行結腸転移に対して手術を施行した1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
【症例】70歳台,男性.3年前に腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を施行された.フォローアップのCTで上行結腸に腫瘤状陰影,両側肺野に小結節影が出現した.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に1型病変を認め,重積も疑われる所見であった.生検では悪性黒色腫が検出された.経気管支肺生検でも同様に悪性黒色腫が疑われた.頭部に黒色結節を認め,生検で悪性黒色腫の診断となった.また,殿部にも悪性黒色腫が疑われる黒色結節(生検施行せず)を確認した.以上より,皮膚悪性黒色腫の皮膚転移,結腸転移,肺転移と診断した.上行結腸病変は腸重積を来す可能性を考慮して手術の方針とした.[手術]腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.腹腔内は無数の黒色結節が腹壁,大網,腸間膜に散在しており,播種の所見であった.肝臓にも転移を疑う黒色結節が散見された.[病理]A,0-Is,55×45×35mm,malignant melanoma,INFb,Ly1a,V1a,Pn1b.免疫染色はS-100陽性,HMB-45陽性,Melan A 陽性,SOX10陽性であり,悪性黒色腫に合致した.[術後経過]経過良好であり,術後8日目に自宅退院となった.外来にて化学療法導入の方針とした.
【考察】悪性黒色腫は皮膚,肺,肝臓への転移が多いとされているが,剖検例では30%程度で消化管転移が認められる.消化管転移の中では小腸,結腸の転移が多く,出血や腸閉塞,穿孔などを来す可能性があるが,切除したとの報告は少ない.近年では悪性黒色腫に対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されており,消化管転移を伴う場合においても局所切除と化学療法を組み合わせて長期生存を得られたとする報告も散見される.本症例は多臓器転移を来しており,根治切除に至らなかったが,腸重積発症を防ぐ目的で低侵襲手術を安全に施行し,速やかに化学療法導入へと移行できた.
【症例】70歳台,男性.3年前に腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を施行された.フォローアップのCTで上行結腸に腫瘤状陰影,両側肺野に小結節影が出現した.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に1型病変を認め,重積も疑われる所見であった.生検では悪性黒色腫が検出された.経気管支肺生検でも同様に悪性黒色腫が疑われた.頭部に黒色結節を認め,生検で悪性黒色腫の診断となった.また,殿部にも悪性黒色腫が疑われる黒色結節(生検施行せず)を確認した.以上より,皮膚悪性黒色腫の皮膚転移,結腸転移,肺転移と診断した.上行結腸病変は腸重積を来す可能性を考慮して手術の方針とした.[手術]腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.腹腔内は無数の黒色結節が腹壁,大網,腸間膜に散在しており,播種の所見であった.肝臓にも転移を疑う黒色結節が散見された.[病理]A,0-Is,55×45×35mm,malignant melanoma,INFb,Ly1a,V1a,Pn1b.免疫染色はS-100陽性,HMB-45陽性,Melan A 陽性,SOX10陽性であり,悪性黒色腫に合致した.[術後経過]経過良好であり,術後8日目に自宅退院となった.外来にて化学療法導入の方針とした.
【考察】悪性黒色腫は皮膚,肺,肝臓への転移が多いとされているが,剖検例では30%程度で消化管転移が認められる.消化管転移の中では小腸,結腸の転移が多く,出血や腸閉塞,穿孔などを来す可能性があるが,切除したとの報告は少ない.近年では悪性黒色腫に対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されており,消化管転移を伴う場合においても局所切除と化学療法を組み合わせて長期生存を得られたとする報告も散見される.本症例は多臓器転移を来しており,根治切除に至らなかったが,腸重積発症を防ぐ目的で低侵襲手術を安全に施行し,速やかに化学療法導入へと移行できた.