講演情報

[P17-1-1]免疫チェックポイント阻害剤の投与中止後も病勢制御を維持し続けたMSI-high大腸癌の1例

上田 勝也, 松田 健司, 岩本 博光, 三谷 泰之, 中村 有貴, 竹本 典生, 田宮 雅人, 兵 貴彦, 下村 和輝, 速水 晋也, 清水 淳史, 北畑 裕司, 宮本 篤, 川井 学 (和歌山県立医科大学)
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【はじめに】MSI-high大腸癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の有効性の報告は散見されるが,投与中止後も病勢制御を維持し続けた症例の報告は少ない.今回,我々は免疫チェックポイント阻害剤の投与中止後も病勢制御を維持し続けたMSI-high大腸癌の1例を経験したので報告する.
【症例】74歳,男性.盲腸癌に対して手術加療を施行し,fT4bN1bM1c:fStageIVcの診断であった.腹膜播種に関してはP1で肉眼的に完全切除し得た.再発リスクが高いと考えられたため,術後補助化学療法を勧めたが希望されず,経過観察の方針となった.術後4ヵ月後のCTにて腹膜播種再発の診断に至り,MSI-HであったためPembrolizumab投与を開始した.逸脱していた腫瘍マーカーは,3コース投与終了後に正常化を認めた.CT上も縮小傾向を認めていたため,Pembrolizumab投与継続としていたが,7コース投与後に副腎不全を発現した.副腎不全は内服加療により速やかに軽快したが,ご本人希望により以降の投与は中止となり,経過観察の方針となった.以降,慎重に経過を見ているが,中止後10ヵ月目のCTにおいてもSDを維持している.
【結論】免疫チェックポイント阻害剤の投与中止後も病勢制御を維持し続けたMSI-high大腸癌の1例を経験した.免疫チェックポイント阻害剤中止後も,病勢制御を維持し続ける症例が存在する.