講演情報

[SR3-2]ロボット支援直腸癌手術の短期/長期成績の傾向スコア解析とこれからのロボット支援手術

真崎 純一, 有働 竜太郎, 久保山 侑, 田子 友哉, 笠原 健大, 石崎 哲央, 永川 裕一 (東京医科大学消化器・小児外科学分野)
PDFダウンロードPDFダウンロード
[背景]2018年の直腸切除術が保険収載されて以降,ロボット支援直腸切除術は急速に拡大してきた.しかしながら,その短期成績での有効性が多々示される一方,本邦における長期成績の報告は未だ少ない.[目的]当科における腹腔鏡下直腸切除術(CLS群)とロボット支援腹腔鏡下直腸切除術(RALS群)の短期/長期成績を傾向スコア解析にて比較することで,ロボット手術の短期/長期腫瘍学的安全性を検討する.[方法]2010年から2018年9月までに当科で施行した直腸癌根治切除術のうち,CLS群108例/RALS群77例を対象とした.腫瘍評価項目は3年無再発生存率(RFS)とした.解析には傾向スコアマッチングを用いて,生存比較にはKaplan-Meire曲線およびlog-rank検定を使用した.年齢,性別,BMI,腫瘍位置,術前治療の有無,疎k法郭清の有無,T因子,N因子,ly,v,組織型,腫瘍最大径,ew,術後合併症,縫合不全の有無を持ちた.[結果]CLS群/RALS群の76例ずつがマッチした.短期成績では,RALS群で手術時間が有意に長いが,IPSSスコアは有意に良好であった.長期成績においては3年RFSはCLS群77.9%,RALS群88.5%で有意差を認めなかった(p=0.518).3年全生存率,3年累積遠隔転移率,3年累積局所再発率はCLS群,RALS群でそれぞれ86.5%,98.4%(P=0.20),8.8%,10.9%(p=0.32),9.7%,4.5%(p=0.23)であり,いずれも有意差を認めなかった.[結語]傾向スコアマッチ後のコホートにおいても,ロボット支援手術は腹腔鏡下手術と比して,従来から指摘されている良好な短期成績を認め,さらには長期成績もCLSと比して統計的に同等以上の結果であった.今後は,完成されている腹腔鏡用の器具を適材適所で併用することで,手術時間の短縮・コスト低減・若手外科医教育さらにはより良質な手術を目指す.従来のRALSと助手参加型RALSのvideoを供覧しながらデータをお示しする.