講演情報

[O2-3]当院における潰瘍性大腸炎に対するUpadacitinibの有用性の検証

石田 夏樹1, 武部 友寛1, 髙橋 賢一1, 淺井 雄介1, 田村 智1, 松浦 友春2, 山出 美穂子1, 岩泉 守哉2, 濱屋 寧1, 山田 貴教3, 大澤 恵3, 杉本 健1 (1.浜松医科大学第一内科, 2.浜松医科大学附属病院検査部, 3.浜松医科大学附属病院光学医療診療部)
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【目的】潰瘍性大腸炎(UC)においてJAK阻害剤であるUpadacitinib(UPA)の有用性が報告され,実臨床に導入されたがreal world dataはまだ十分とはいえない.本研究では当院におけるUCに対するUPAの有効性を検証することを目的とした.
【方法】2022年10月から2023年12月の間に当施設でUPAが導入されたUC患者20例(年齢中央値28歳,罹患期間中央値5年,男/女=14/6)を対象とした.CAI(Rachmilewitz index),血液検査(CRP,Hb,Alb,WBCおよび好中球,リンパ球,単球の三分画(実数および比率))について導入時と導入2ヶ月後のデータについて比較検討した.
【結果】UPA導入2週目以降でCAIの変化率は有意な改善を示した.血液検査について導入から2ヶ月目にAlbは有意に上昇し(P=0.01),CRP(P=0.02)とWBC(P<0.01)は有意な低下を示した.白血球分画については好中球数(P<0.01)および単球数(P<0.01),NLR(好中球/リンパ球比)(P=0.04)は有意な低下を示し,LMR(リンパ球/単球比)は有意な上昇を示した(P<0.01).観察期間中に5名がUPA治療でfailureとなった.導入時点と導入2ヶ月目においていずれの血液検査所見もnon-failure群およびfailure群で有意差は見られなかった.血液検査所見の変化に関してnon-failure群においてUPA導入2ヶ月目でAlbは有意に上昇し(P=0.04),CRP(P<0.01)およびWBC(P<0.01)は有意な低下を示した.non-failure群において好中球(P=0.01)および単球(P=0.01)は導入2ヶ月目で有意な低下を示し,LMR(P=0.03)は有意な上昇を示した.failure群においてはいずれの血液検査所見も有意な変化は示さなかった.
【結論】UCにおけるUPAの臨床的有用性が認められ,導入時と2ヶ月目の血液検査学的な改善も示された.