講演情報
[O17-2]当院における回腸人工肛門造設時のOutlet obstruction症例の検討とその予防
浅井 慶子, 久万田 優佳, 岩田 浩義, 唐崎 秀則, 橋本 道紀, 稲葉 聡 (JA北海道厚生連遠軽厚生病院外科)
【背景】回腸人工肛門造設時の合併症の一つとしてOutlet obstruction(以降OO)が上げられる.発症すると腹痛,吐き気等の症状により患者のQOLを害し,入院期間の延長をしいられる.【目的】当科における回腸人工肛門造設時のOOの発生率を検討し,また最近の発症予防の工夫について紹介する.【対象】2018年1月より2023年12月までの疾患を問わず回腸人工肛門を造設した40症例(n【造設法】男女ともに腹直近内ルート,ルート直径最低2横指,腹直近前鞘は縦切開.腹腔鏡手術の際にはルート造設時には気腹解除.腸管の向きは双孔式の場合は捻らず自然な形とした.【結果】回腸人工肛門造設40例のうち,性比(男性:女性=26:14),良悪性(良:悪=10:30),手術アプローチ(開腹:腹腔鏡:開腹移行=18:21:1),手術予定(予定:緊急=23:17),造設法(双孔:単孔:二連銃=30:9:1),閉鎖予定(一時:永久=28:12).40例中OOを発症したのは9例.全例悪性,男性で腹腔鏡手術であった.直腸癌手術に伴うdiverting stomaとして4例,直腸癌術後縫合不全のため後日stoma造設をした2例,癌性イレウスのためstoma造設のみ施行した2例,大腸亜全摘後の1例であった.OOの発症までの期間は(ネラトン挿入する日まで)術後平均3.8日(2-14日),ネラトンのよるドレナージ期間は平均18.1日(8-37).ドレナージ後に再燃し人工肛門閉鎖術を必要としたのは2例(術後28日目と37日目)でありいずれも直腸癌手術(LAR/ISR)のdiverting stoma.1例は腹壁の瘢痕収縮による高度狭窄を認めていた.【現在の予防策】OOの一般的リスク因子(高度肥満,腹壁が厚い等)に加えて腹膜炎症例,小腸が細い上に腸間膜が厚く腹壁の厚い症例に対して,口側腸管にネラトンを挿入した状態で人工肛門造設を行った.上記に合致する症例3例に対して行ったがobstructionを発症することなく経過した.この方法のデメリットは早期よりの自己stoma管理ができないことである.しかしネラトンを挿入したことによる自己管理の遅延は術後7-10日目より開始する程度であり患者選択をしっかり行えばOOを防ぎ患者の負担軽減に繋がると考えた.当日はより詳細な検討と現在の予防法について紹介する.