講演情報
[VPD4-4]完全直腸脱に対するDelorme手術の工夫
山田 英貴1, 森 俊治2, 田中 香織2 (1.山田外科内科, 2.森外科医院)
<はじめに>Delorme手術は肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン(2020年版)において5cm未満の直腸脱症例に推奨されているが,縫合不全による重篤な合併症の発生を懸念し,我々はDelorme手術を完全直腸脱に対する標準術式としている.我々が施行している完全直腸脱に対するDelorme手術時の工夫と治療成績について発表する.
<手術術式>腰椎麻酔下ジャックナイフ体位にて手術を開始.ローンスターリトラクタシステムを用いて,視野を確保.歯状線から約1cm口側の直腸粘膜にマーキング後,脱出腸管の先進部から粘膜剥離を開始.はじめに脱出腸管外管の粘膜剥離を行う.途中から粘膜に縦切開を加え,歯状線レベルまで粘膜剥離を行う.その後,口側の内管粘膜の剥離を行う.この際,直腸筋層を腹腔側へ反転させ,より多くの粘膜剥離を行うことで術後再発の予防に努めている.筋層縫合を3-0吸収糸8~10針で行い,粘膜縫合は3-0吸収糸16~20針で行う.
<対象と方法>2017年5月から2024年3月までに40例のDelorme手術を施行.切除した粘膜長(内管粘膜と外管粘膜)を計測し,総粘膜切除長:脱出腸管長を評価.術後再発の定義は診察時または排便造影検査にて直腸の脱出を確認できた症例とした.術後すべての症例にパンフレットを用いて骨盤底筋群のトレーニングを推奨している.
<結果>
・男性2例,女性38例,年齢の中央値は81歳<50-91歳>,脱出腸管長の中央値は4cm<1.5-7cm>.総粘膜切除長の中央値は12cm<4.5-24cm>.平均総粘膜切除長:脱出腸管長は2.91.
・術後吻合部狭窄は5例(12.5%)で経験.全例保存的治療で排便障害なし,再発も認めず.
・再発は6例(15%)で経験.術後2ヶ月以内に再発した3例は全例,他院で腹腔鏡下直腸固定術を施行.その他の1例は当院で再Delorme手術を施行.2例は脱出の程度が軽度であり,経過観察中.
・縫合不全は1例(2.5%)を発症し,術後7日目に再縫合術を施行.総粘膜切除長:脱出腸管長が6の症例であった.
<考察と結語>・吻合部狭窄を生じた症例では再発例を認めなかった.
・切除粘膜長は再発率の改善には関与していなかった.
・脱出長の5倍以上の粘膜切除では縫合不全発生の危険があると思われた.
<手術術式>腰椎麻酔下ジャックナイフ体位にて手術を開始.ローンスターリトラクタシステムを用いて,視野を確保.歯状線から約1cm口側の直腸粘膜にマーキング後,脱出腸管の先進部から粘膜剥離を開始.はじめに脱出腸管外管の粘膜剥離を行う.途中から粘膜に縦切開を加え,歯状線レベルまで粘膜剥離を行う.その後,口側の内管粘膜の剥離を行う.この際,直腸筋層を腹腔側へ反転させ,より多くの粘膜剥離を行うことで術後再発の予防に努めている.筋層縫合を3-0吸収糸8~10針で行い,粘膜縫合は3-0吸収糸16~20針で行う.
<対象と方法>2017年5月から2024年3月までに40例のDelorme手術を施行.切除した粘膜長(内管粘膜と外管粘膜)を計測し,総粘膜切除長:脱出腸管長を評価.術後再発の定義は診察時または排便造影検査にて直腸の脱出を確認できた症例とした.術後すべての症例にパンフレットを用いて骨盤底筋群のトレーニングを推奨している.
<結果>
・男性2例,女性38例,年齢の中央値は81歳<50-91歳>,脱出腸管長の中央値は4cm<1.5-7cm>.総粘膜切除長の中央値は12cm<4.5-24cm>.平均総粘膜切除長:脱出腸管長は2.91.
・術後吻合部狭窄は5例(12.5%)で経験.全例保存的治療で排便障害なし,再発も認めず.
・再発は6例(15%)で経験.術後2ヶ月以内に再発した3例は全例,他院で腹腔鏡下直腸固定術を施行.その他の1例は当院で再Delorme手術を施行.2例は脱出の程度が軽度であり,経過観察中.
・縫合不全は1例(2.5%)を発症し,術後7日目に再縫合術を施行.総粘膜切除長:脱出腸管長が6の症例であった.
<考察と結語>・吻合部狭窄を生じた症例では再発例を認めなかった.
・切除粘膜長は再発率の改善には関与していなかった.
・脱出長の5倍以上の粘膜切除では縫合不全発生の危険があると思われた.