講演情報
[P11-1-2]再発を繰り返した難治性肛門尖圭コンジローマに対して,4価HPVワクチン投与が奏功した1例
渡部 晃大1, 花田 圭太2, 加川 隆三郎1 (1.洛和会音羽病院肛門科, 2.洛和会音羽病院外科)
<はじめに>肛門尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)6型,11型によって引き起こされる性行為感染症の一つである.現在,本邦では,HPVワクチンは12~16歳の女性に対する定期接種ワクチンとなっているが,男性に対しては保健適応外となっている.今回,我々は,イミキモドクリーム塗布や焼灼を行うも,再発を繰り返した男性の難治性肛門尖圭コンジローマ患者に対して,HPV感染予防目的で4価HPVワクチンを投与したところ,症状が改善し,その後半年以上再発を来していない症例を経験したので報告する.
<症例>症例は35歳男性.肛門周囲の乳頭状疣贅を主訴に近医肛門科を受診し,肛門部尖圭コンジローマと診断された.イミキモドクリームの塗布を開始したが,2週間で疣贅が増大傾向となったため,焼灼を行った.焼灼後,1週間で焼灼部周囲に再発を来したため,当院皮膚科に紹介となった.
イミキモドクリームの塗布を継続し,適宜液体窒素での焼灼を行ったが,再発を繰り返した.HIV感染は認められなかった.患者にはワクチン接種の強い希望があったため,治療目的ではなく,今後の予防目的である旨を説明し,4価HPVワクチンを投与する方針とした.近医での治療開始から約4ヶ月後に4価HPVワクチンの初回投与を左上腕部に行った.疣贅は速やかに消退傾向となり,初回投与3週間後にイミキモドクリームの塗布を終了.小病変に液体窒素焼灼を行い,3回目のワクチン投与を待たずに肛門病変は消失した.予定通り3回のワクチン投与を終了し,その後,半年以上にわたって再発を認めていない.
<結語>海外での検討はあるものの,本邦で肛門尖圭コンジローマに対してHPVワクチンが奏功したと考えられた文献報告はない.局所感染による免疫誘導効率と,ワクチンによる免疫誘導効率が異なっている可能性も考えられ,文献的考察を交えて報告する.
<症例>症例は35歳男性.肛門周囲の乳頭状疣贅を主訴に近医肛門科を受診し,肛門部尖圭コンジローマと診断された.イミキモドクリームの塗布を開始したが,2週間で疣贅が増大傾向となったため,焼灼を行った.焼灼後,1週間で焼灼部周囲に再発を来したため,当院皮膚科に紹介となった.
イミキモドクリームの塗布を継続し,適宜液体窒素での焼灼を行ったが,再発を繰り返した.HIV感染は認められなかった.患者にはワクチン接種の強い希望があったため,治療目的ではなく,今後の予防目的である旨を説明し,4価HPVワクチンを投与する方針とした.近医での治療開始から約4ヶ月後に4価HPVワクチンの初回投与を左上腕部に行った.疣贅は速やかに消退傾向となり,初回投与3週間後にイミキモドクリームの塗布を終了.小病変に液体窒素焼灼を行い,3回目のワクチン投与を待たずに肛門病変は消失した.予定通り3回のワクチン投与を終了し,その後,半年以上にわたって再発を認めていない.
<結語>海外での検討はあるものの,本邦で肛門尖圭コンジローマに対してHPVワクチンが奏功したと考えられた文献報告はない.局所感染による免疫誘導効率と,ワクチンによる免疫誘導効率が異なっている可能性も考えられ,文献的考察を交えて報告する.