講演情報
[O17-5]当科における待機直腸癌手術での一時的人工肛門の造設腸管に関する検討
木山 茂, 松本 圭太, 浅井 竜一, 田島 ジェシー雄, 松橋 延壽 (岐阜大学医学部附属病院消化器外科・小児外科)
【背景】直腸癌手術時には一時的人工肛門が術後合併症である縫合不全の予防目的に造設される.人工肛門造設,閉鎖を考慮し,回腸を使用されることが多い.しかし,回腸人工肛門はHigh Output Stoma Syndromeや皮膚障害をきたし,結腸人工肛門と比較し,管理に難渋することがある.
【目的】当科でも回腸人工肛門の合併症を経験し,術後化学療法予定症例,腎機能低下症例には結腸で人工肛門を造設するなど,一律に回腸で作成するのではなく,症例に応じ,造設部位を検討してきた.回腸人工肛門と結腸人工肛門の造設,閉鎖の現況を後方視的に検証し,造設腸管の妥当性について検討した.
【対象】2016年1月~2022年12月,待機直腸癌手術で一時的人工肛門を造設した137例
【結果】・造設腸管:回腸66例,結腸71例<造設>・術前治療(あり/なし):回腸(5/61)結腸(21/50)・術式(LAR/ISR):回腸(49/17)結腸(49/22)・側方郭清(あり/なし):回腸(14/52)結腸(19/52)・最終診断(0/I/II/III/IV):回腸(2/32/13/18/1)結腸(3/20/15/24/9)・術後在院日数:回腸18±8日,結腸14±4日・人工肛門関連合併症:回腸12例,結腸2例・術後療法(あり/なし):回腸(21/45)結腸(44/27)
<閉鎖>・閉鎖(あり/なし):回腸(64/2)結腸(62/9)・閉鎖までの期間:回腸185±120日,結腸200±80日・閉鎖手術時間:回腸80±27分,結腸90±22分・術後在院日数:回腸11±10日,結腸11±4日・合併症:回腸3例,結腸10例
【まとめ】当科では近年,術前,術後に化学療法を要する進行直腸癌症例が多く,結果的に結腸での人工肛門造設が多い傾向であった.造設時,回腸は結腸に比べ,術後在院日数が有意に長く,人工肛門関連合併症が有意に多かった.閉鎖時,結腸は回腸に比べ,手術時間が有意に長く,合併症が多い傾向にあったが,再手術症例はなく,術後在院日数に有意差は認めなかった.
【結語】当科における一時的人工肛門造設部位の選択は概ね許容できるものと考えた.回腸,結腸人工肛門の特徴(長所,短所)を理解し,症例ごとに造設腸管を検討する必要があると考えた.
【目的】当科でも回腸人工肛門の合併症を経験し,術後化学療法予定症例,腎機能低下症例には結腸で人工肛門を造設するなど,一律に回腸で作成するのではなく,症例に応じ,造設部位を検討してきた.回腸人工肛門と結腸人工肛門の造設,閉鎖の現況を後方視的に検証し,造設腸管の妥当性について検討した.
【対象】2016年1月~2022年12月,待機直腸癌手術で一時的人工肛門を造設した137例
【結果】・造設腸管:回腸66例,結腸71例<造設>・術前治療(あり/なし):回腸(5/61)結腸(21/50)・術式(LAR/ISR):回腸(49/17)結腸(49/22)・側方郭清(あり/なし):回腸(14/52)結腸(19/52)・最終診断(0/I/II/III/IV):回腸(2/32/13/18/1)結腸(3/20/15/24/9)・術後在院日数:回腸18±8日,結腸14±4日・人工肛門関連合併症:回腸12例,結腸2例・術後療法(あり/なし):回腸(21/45)結腸(44/27)
<閉鎖>・閉鎖(あり/なし):回腸(64/2)結腸(62/9)・閉鎖までの期間:回腸185±120日,結腸200±80日・閉鎖手術時間:回腸80±27分,結腸90±22分・術後在院日数:回腸11±10日,結腸11±4日・合併症:回腸3例,結腸10例
【まとめ】当科では近年,術前,術後に化学療法を要する進行直腸癌症例が多く,結果的に結腸での人工肛門造設が多い傾向であった.造設時,回腸は結腸に比べ,術後在院日数が有意に長く,人工肛門関連合併症が有意に多かった.閉鎖時,結腸は回腸に比べ,手術時間が有意に長く,合併症が多い傾向にあったが,再手術症例はなく,術後在院日数に有意差は認めなかった.
【結語】当科における一時的人工肛門造設部位の選択は概ね許容できるものと考えた.回腸,結腸人工肛門の特徴(長所,短所)を理解し,症例ごとに造設腸管を検討する必要があると考えた.