講演情報
[P17-2-2]癌性腹膜炎,小腸・大腸腸閉塞に対し,PTEG(経皮経食道胃管挿入術)イレウス管,経肛門的イレウス管の2本イレウス管が有効であった1例
宮永 克也, 古元 克好 (林病院外科)
経皮経食道胃管挿入術PTEG(percutaneous trans-esophageal gastro-tubing)は,患者に応じて,経管経腸栄養法,また,腸管減圧法として有効であり,また経肛門的イレウス管は大腸閉塞に対し,減圧法として有効である.今回,癌性腹膜炎,小腸,大腸閉塞状態の患者に,PTEGを施行し,同部よりイレウス管を留置し小腸閉塞を,また,経肛門的イレウス管を留置し,大腸閉塞を減圧し,この上部・下部消化管にそれぞれイレウス管を留置し有用で,良好なQOLが得られ,終末期を過ごせた症例を経験したので,ここに報告する.症例は74歳男性.既往歴:高血圧.2020年8月,上行結腸癌,原発巣周囲,モリソン窩,大網および骨盤底部に多発播種巣を認め,同月,腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.病理結果は,A,type2,5.0×5.0cm,pT4a(SE),pM1,H0,P3,stageIV,であった.術後は,化学療法(BV+FOLFOX)を計16コース施行.さらに,2022年9月より,FOLFIRI+Ramucirumabを,2コース施行した.2023年2月腹部CTにて,回腸末端,直腸Rsの播種巣が閉塞性の機転の腸閉塞を認めた.経鼻的イレウス管を挿入し,小腸イレウスを減圧した.S状結腸内視鏡にて,直腸(RS)に3/4周性の腫瘤を認めた.同部に大腸ステントを留置したところ,排便を認めるようになったが,再度腹部膨満を認め,CTを撮影したところ,下行結腸からS状結腸,SD付近に播種巣による狭窄を認めた.回腸末端に人工肛門,もしくは横行結腸とのバイパス,また横行~下行結腸に人工肛門造設を考慮したが,横行~下行結腸周囲には播種結節多数,腹水を中等量認め,人工肛門造設は不可と判断した.透視下に経肛門イレウス管挿入し,先端を横行結腸に留置した.3月中旬,PTEGを施行し,イレウス管を挿入した.上部下部イレウス管による腸管減圧は良好であった.播種による腹痛はフェンタニルテープによりコントロールでき,良好なQOLを得られた終末期を過ごされ,4月下旬死亡に至った.