講演情報
[R8-5]合成レチノイドAm80により大腸癌細胞で有意に変化した遺伝子のネットワーク解析で推定されたhub geneの検討
中山 善文1,2, 佐古 達彦2, 井上 譲2, 阿部 幸生2, 勝木 健文2, 皆川 紀剛2, 平田 敬治2 (1.北九州中央病院, 2.産業医科大学第1外科)
【目的】Am80は,急性前骨髄性白血病のATRA治療後の再燃に臨床使用されている合成レチノイドで,大腸癌を含むいくつかの固形癌に対して臨床応用が模索されている.大腸癌細胞にAm80を投与し,マイクロアレイ解析で有意に変化した遺伝子についてネットワーク解析を行い,作用機序に重要な役割を果たしていると思われるhub geneを推定した.
【対象と方法】大腸癌細胞株DLD-1をAm80投与下で培養し,total RNAを抽出した.ヒト全遺伝子型DNAチップを用いてマイクロアレイ解析を行い,有意に変化した遺伝子(DEG:Differentially expressed gene)(Log2Ratio≧0.5 or Log2Ratio≦-0.5)を抽出した.これらのDEGについて,GeneMANIAを使用してネットワーク解析を行い,それぞれのDEGの関連遺伝子対を確認した.更に,連遺伝子対の多いものから10%程度のDEGをhub geneとして抽出し検討した.
【結果】マイクロアレイ解析の結果,有意に変化したDEGが195個認めら,これらのDEGのネットワーク解析では,関連遺伝子対がCo-expression(CE)で13,904個,Co-localization(CL)で438個,Genetic Interactions(GI)で1,802個,Pathway(Path)で10個,Physical Interactions(PI)で66個,Predicted(Pre)で16個,Shared protein domains(SPD)で158個存在した.それぞれのDEGの関連遺伝子対を確認した結果から,関連遺伝子対108個以上を有した21個のDEGがhub geneとして推定された.それらは,EDAR,ST6GALNAC2,DHRS3,KLK1,SDC4,CLIC3,CTSH,IGFBP3,DEFB1,PTPRH,GCNT3,IGFBP6,CDA,IGFBP4,IL33,CCDC68,RAMP1,PTGER2,CXCL1,RARRES1,UNC13Bで,増加したDEG由来が15個,減少したDEG由来が6個あった.増加したDEG由来のhub geneの中には,腫瘍抑制因子や予後良好因子がいくつか認められ,また,減少したDEG由来のhub geneの中には,腫瘍促進因子や予後不良因子が認められた.
【まとめ】 Am80投与によって有意に変化した遺伝子をネットワーク解析することで,その作用機序に重要な遺伝子をhub geneとして推測することができた.今後,それぞれのhub geneについて検討する必要があると思われた.
【対象と方法】大腸癌細胞株DLD-1をAm80投与下で培養し,total RNAを抽出した.ヒト全遺伝子型DNAチップを用いてマイクロアレイ解析を行い,有意に変化した遺伝子(DEG:Differentially expressed gene)(Log2Ratio≧0.5 or Log2Ratio≦-0.5)を抽出した.これらのDEGについて,GeneMANIAを使用してネットワーク解析を行い,それぞれのDEGの関連遺伝子対を確認した.更に,連遺伝子対の多いものから10%程度のDEGをhub geneとして抽出し検討した.
【結果】マイクロアレイ解析の結果,有意に変化したDEGが195個認めら,これらのDEGのネットワーク解析では,関連遺伝子対がCo-expression(CE)で13,904個,Co-localization(CL)で438個,Genetic Interactions(GI)で1,802個,Pathway(Path)で10個,Physical Interactions(PI)で66個,Predicted(Pre)で16個,Shared protein domains(SPD)で158個存在した.それぞれのDEGの関連遺伝子対を確認した結果から,関連遺伝子対108個以上を有した21個のDEGがhub geneとして推定された.それらは,EDAR,ST6GALNAC2,DHRS3,KLK1,SDC4,CLIC3,CTSH,IGFBP3,DEFB1,PTPRH,GCNT3,IGFBP6,CDA,IGFBP4,IL33,CCDC68,RAMP1,PTGER2,CXCL1,RARRES1,UNC13Bで,増加したDEG由来が15個,減少したDEG由来が6個あった.増加したDEG由来のhub geneの中には,腫瘍抑制因子や予後良好因子がいくつか認められ,また,減少したDEG由来のhub geneの中には,腫瘍促進因子や予後不良因子が認められた.
【まとめ】 Am80投与によって有意に変化した遺伝子をネットワーク解析することで,その作用機序に重要な遺伝子をhub geneとして推測することができた.今後,それぞれのhub geneについて検討する必要があると思われた.