講演情報
[R3-2]ロボット支援腹腔鏡下大腸切除におけるICG蛍光クリップの有用性と実際の準備と手技
福島 元太郎, 真崎 純一, 有働 竜太郎, 田子 友哉, 笠原 健大, 石崎 哲央, 永川 裕一 (東京医科大学病院消化器外科小児外科)
ロボット支援手術は大腸癌治療において急速に普及している.MIS大腸切除において,腹腔内における特に早期病変や小病変の腫瘍局在の確認は従来から点墨法が頻用されている.点墨法は,腸管上の注入部周囲や腸間膜内への墨の過度な拡散や浸潤,周囲組織の癒着などの弊害が存在し,手技を行う内視鏡医のスキルによりその質が左右される側面を持つ.直腸切除における肛門側切離marginは特に正確性が要求され,またTMEにおける点墨による剥離面の組織認識不良も腫瘍学的な手術の質の低下を招くため,局在の確認は術中内視鏡検査を選択している施設が多い.また,結腸においても点墨の拡散による切除腸管長の延長や短縮などの問題は同様であり,腫瘍学的なmarginの確保や特に体腔内吻合における安全な吻合には適切な腸管長での切離は非常に重要である.
そこで我々は,ICGが塗布された内視鏡用clipによる腫瘍位置のmarkingを術前に行い点墨の代替とした.主にロボット支援手術に使用しているが,点墨よりもピンポイントで鮮明に観察することが可能であり,直腸においては術中内視鏡検査が不要となり,結腸の体腔内吻合では口側及び肛門測の切除腸管長を適切に決定することが可能であった.
MIS,特にロボット支援手術においては,ボタン一つで容易にICG蛍光法を用いることが可能であり,術中内視鏡検査を省略し得ることによる手術時間短縮,またロボット支援手術と親和性の高い体腔内吻合における問題点を改善しうると考える.
ICG蛍光クリップの透見には組織の厚みや周辺組織との重なりの影響を受けるため,クリップする部位における腫瘍や腸間膜の方向および周囲組織との関係性など解剖学的な知見を考慮する必要がある.内視鏡的クリップ自体は特別な操作は不要であり,可能であれば実際の手術に精通した外科医による立ち会いもしくは外科医自身による施行が望ましい.
今回,術前内視鏡の施行から実際の手術の様子まで一連の流れを,その有用性や必要な注意点とともに提示する.
そこで我々は,ICGが塗布された内視鏡用clipによる腫瘍位置のmarkingを術前に行い点墨の代替とした.主にロボット支援手術に使用しているが,点墨よりもピンポイントで鮮明に観察することが可能であり,直腸においては術中内視鏡検査が不要となり,結腸の体腔内吻合では口側及び肛門測の切除腸管長を適切に決定することが可能であった.
MIS,特にロボット支援手術においては,ボタン一つで容易にICG蛍光法を用いることが可能であり,術中内視鏡検査を省略し得ることによる手術時間短縮,またロボット支援手術と親和性の高い体腔内吻合における問題点を改善しうると考える.
ICG蛍光クリップの透見には組織の厚みや周辺組織との重なりの影響を受けるため,クリップする部位における腫瘍や腸間膜の方向および周囲組織との関係性など解剖学的な知見を考慮する必要がある.内視鏡的クリップ自体は特別な操作は不要であり,可能であれば実際の手術に精通した外科医による立ち会いもしくは外科医自身による施行が望ましい.
今回,術前内視鏡の施行から実際の手術の様子まで一連の流れを,その有用性や必要な注意点とともに提示する.