講演情報
[PD9-4]ベドリズマブで治療されたクローン病患者の薬剤変更における,抗TNFα製剤とウステキヌマブの比較検討
深田 雅之1, 岡山 和代1, 山崎 大1, 堀江 義政1,2, 西口 貴則1, 大久保 亮1 (1.東京山手メディカルセンター炎症性腸疾患内科, 2.東邦大学大橋病院消化器内科)
【目的】
ベドリズマブ(VDZ)によるクローン病(CD)の治療中にBio変更を行う場合の薬剤選択についてはエビデンスが限られている.今回我々は,VDZが使用されたCD患者のBio変更において,抗TNFα製剤とウステキヌマブ(UST)の治療効果と予後を比較検討した.
【方法】
2019年6月からVDZ治療を受けたCD患者のうち,2023年3月までに抗TNFα製剤もしくはUSTに変更された症例において,変更後8週の有効性と52週の寛解および治療維持率を後ろ向きに検討した.
【結果】
対象は27例で男性が63%,年齢と罹患期間の中央値は41歳と12年であった.多くが小腸大腸型(19例,70.4%)で,小腸型と大腸型がそれぞれ4例づつであった.Bio変更時のCDAIは210.3±55.5(SD)で,VDZ投与期間は42±36.7週であった.Bio変更時の患者背景では,UST群で病悩期間の中央値が長く(19.8対10.4年,P=0.04),CDAIが低かった(184.5±52.2対234.2±48.7,P=0.045).Bio変更8週時のCDAIはUST群158.4±52.8,抗TNFα製剤群176.9±60.5と同等で(P=0.38),有効率(CDAIが150未満もしくは70以上低下)は30.8%対38.5%と抗TNFα製剤の方が高かったが統計学的有意差は認めなかった.変更後52週まで治療継続できたのは両群とも10例づつで(76.9 vs. 71.4%),52週時のCDAIは144.8±61.4対105.1±39.6と抗TNFα製剤群で有意に低かった(P=0.008).しかし,治療継続できた抗TNFα製剤群の50%で投与期間短縮もしくは倍量投与,およびアザチオプリン 投与が行われていた.
【結語】
VDZが使用されたCDにおいて,Bio変更の有効性と1年間の継続率はUSTと抗TNFα製剤で同等であったが,抗TNFα製剤ではUSTと比べて52週時点でのCDAIが有意に低かった.しかし抗TNFα製剤群の半数で容量調節がなされていた.
ベドリズマブ(VDZ)によるクローン病(CD)の治療中にBio変更を行う場合の薬剤選択についてはエビデンスが限られている.今回我々は,VDZが使用されたCD患者のBio変更において,抗TNFα製剤とウステキヌマブ(UST)の治療効果と予後を比較検討した.
【方法】
2019年6月からVDZ治療を受けたCD患者のうち,2023年3月までに抗TNFα製剤もしくはUSTに変更された症例において,変更後8週の有効性と52週の寛解および治療維持率を後ろ向きに検討した.
【結果】
対象は27例で男性が63%,年齢と罹患期間の中央値は41歳と12年であった.多くが小腸大腸型(19例,70.4%)で,小腸型と大腸型がそれぞれ4例づつであった.Bio変更時のCDAIは210.3±55.5(SD)で,VDZ投与期間は42±36.7週であった.Bio変更時の患者背景では,UST群で病悩期間の中央値が長く(19.8対10.4年,P=0.04),CDAIが低かった(184.5±52.2対234.2±48.7,P=0.045).Bio変更8週時のCDAIはUST群158.4±52.8,抗TNFα製剤群176.9±60.5と同等で(P=0.38),有効率(CDAIが150未満もしくは70以上低下)は30.8%対38.5%と抗TNFα製剤の方が高かったが統計学的有意差は認めなかった.変更後52週まで治療継続できたのは両群とも10例づつで(76.9 vs. 71.4%),52週時のCDAIは144.8±61.4対105.1±39.6と抗TNFα製剤群で有意に低かった(P=0.008).しかし,治療継続できた抗TNFα製剤群の50%で投与期間短縮もしくは倍量投与,およびアザチオプリン 投与が行われていた.
【結語】
VDZが使用されたCDにおいて,Bio変更の有効性と1年間の継続率はUSTと抗TNFα製剤で同等であったが,抗TNFα製剤ではUSTと比べて52週時点でのCDAIが有意に低かった.しかし抗TNFα製剤群の半数で容量調節がなされていた.