講演情報

[WS2-5]当科におけるクローン病に対する鏡視下手術239例の検討

楠 蔵人1, 友尾 祐介1, 野村 和徳1, 長野 健太郎1, 桑原 隆一1, 堀尾 勇規1, 木村 慶2, 片岡 幸三2, 別府 直仁2, 内野 基1, 池田 正孝2, 池内 浩基1 (1.兵庫医科大学炎症性腸疾患外科, 2.兵庫医科大学下部消化管外科)
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【目的】近年,腹腔鏡手術手技の発達を背景としてクローン病(以下CD)に対する腹腔鏡手術症例は増加傾向である.本邦の内視鏡外科学会のガイドラインでは,CDの回盲部の狭窄病変に対する初回手術が良い適応とされているが,当院では狭窄症例に加え,膿瘍形成や瘻孔形成症例に関してもreduced port surgeryとして単孔式腹腔鏡手術を選択することが多く手術適応の選定,実際の方法,成績について報告する.
 【方法】2017年11月から2024年3月までに当院でCDに対して腹腔鏡補助下で腸管切除手術を施行した239症例に対して患者背景,周術期合併症,手術成績について検討を行った.
 【結果】患者の手術時平均年齢は34.8歳で,男性183人,女性56人であった.手術適応としては狭窄が158例(66.1%),膿瘍形成が45例(18.8%),瘻孔形成が32例(13.4%),出血等が4例(1.7%)であった.239例中232例は初回腸管切除症例であった.
狭窄症例の平均手術時間は177分,平均出血量80.6ml,平均在院日数17.4日,Clavien-Dindo分類(以下C-D分類)II以上21例であった.膿瘍形成を認める症例の平均手術時間は159分,平均出血量109ml,平均在院日数16.8日,C-D分類II以上2例,開腹移行2例であった.瘻孔形成を認める症例の平均手術時間は195分,平均出血量115ml,平均在院日数17.3日,C-D分類II以上2例,開腹移行2例であった.当科での前回吻合部切除についても動画を供覧していただく.
【結語】CD腸管切除手術において腹腔鏡手術の適応は回盲部の狭窄病変に関してのみ推奨されているが,膿瘍形成や瘻孔形成の症例,初回手術症例以外に関しても症例を選択すれば鏡視下手術も選択肢のひとつではないかと考えられる.