講演情報
[PD6-5]潰瘍性大腸炎に対して結腸全摘術を施行した高齢手術症例の臨床的特徴と経過の検討
桑原 隆一1, 池内 浩基1, 野村 和徳1, 友尾 祐介1, 長野 健太郎1, 楠 蔵人1, 堀尾 勇規1, 木村 慶2, 片岡 幸三2, 別府 直仁2, 池田 正孝2, 内野 基1 (1.兵庫医科大学病院消化器外科学講座炎症性腸疾患外科, 2.兵庫医科大学病院消化器外科学講座下部消化管外科)
【背景,目的】
近年高齢潰瘍性大腸炎(以下UC)手術症例が増加している.高齢UC症例は術後合併症率や死亡率が高いことが知られており,初回術式として結腸全摘術(以下TC)が選択されることも多い.一方でTC術後の経過に関しては高齢者では再建を行わないことも多く,非高齢者とは異なった経過をたどるがTCの術後経過に関する報告は限定的である.今回高齢UC症例のTC術後経過を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2014年1月から2023年3月までに当院でUCに対して大腸切除手術を行った677例のうちTC行った119例を対象とした.手術時年齢が65歳以上であった高齢群(A群)59例と非高齢群群(B群)60例の2群に分けて患者背景,術前の内科治療,手術成績,術後経過などについて比較検討する.
【結果】
患者背景(A/B,median(range))に関しては性別(男)43/45(p=1.000),手術時年齢(歳)は70(33-90)/34(6-62)(p=0.001),罹病期間(か月)16.9(0.5-551.2)/5.6(0.4-432.7)(p=0.04)であった.術前の内科治療(術前のステロイド使用や投与量,免疫抑制剤の使用,抗TNFα抗体製剤の利用)に関しては両軍艦に優位差を認めなかった.
術後経過に関しては術後在院日数(日):32(3-144)/26.5(8-193)(p=0.06),Clavien-Dindo Grade3以上の術後合併症率(%):28.8/25(p=0.683)で両群間に有意差を認めなかった.再建手術(%)を施行したのは8.7/91.2(p=0.001)である.死亡例はA群のみで6例(10.1%)であった.手術施設からの自宅退院は(%):62.7/91.6(p=0.002)である.転院(%):25.4/8.3(p=0.014),TC後1年以内の再入院率(%):20.3/6.6(p=0.033)とA群で優位に多かった.
【結語】
高齢UCに対するTC術後の死亡率は10.1%で非高齢群では死亡例は認めなかった.転院率は25.4%,術後1年以内の再入院率は25.1%と非高齢群と比較して約3倍であり優位に多かった.
近年高齢潰瘍性大腸炎(以下UC)手術症例が増加している.高齢UC症例は術後合併症率や死亡率が高いことが知られており,初回術式として結腸全摘術(以下TC)が選択されることも多い.一方でTC術後の経過に関しては高齢者では再建を行わないことも多く,非高齢者とは異なった経過をたどるがTCの術後経過に関する報告は限定的である.今回高齢UC症例のTC術後経過を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2014年1月から2023年3月までに当院でUCに対して大腸切除手術を行った677例のうちTC行った119例を対象とした.手術時年齢が65歳以上であった高齢群(A群)59例と非高齢群群(B群)60例の2群に分けて患者背景,術前の内科治療,手術成績,術後経過などについて比較検討する.
【結果】
患者背景(A/B,median(range))に関しては性別(男)43/45(p=1.000),手術時年齢(歳)は70(33-90)/34(6-62)(p=0.001),罹病期間(か月)16.9(0.5-551.2)/5.6(0.4-432.7)(p=0.04)であった.術前の内科治療(術前のステロイド使用や投与量,免疫抑制剤の使用,抗TNFα抗体製剤の利用)に関しては両軍艦に優位差を認めなかった.
術後経過に関しては術後在院日数(日):32(3-144)/26.5(8-193)(p=0.06),Clavien-Dindo Grade3以上の術後合併症率(%):28.8/25(p=0.683)で両群間に有意差を認めなかった.再建手術(%)を施行したのは8.7/91.2(p=0.001)である.死亡例はA群のみで6例(10.1%)であった.手術施設からの自宅退院は(%):62.7/91.6(p=0.002)である.転院(%):25.4/8.3(p=0.014),TC後1年以内の再入院率(%):20.3/6.6(p=0.033)とA群で優位に多かった.
【結語】
高齢UCに対するTC術後の死亡率は10.1%で非高齢群では死亡例は認めなかった.転院率は25.4%,術後1年以内の再入院率は25.1%と非高齢群と比較して約3倍であり優位に多かった.