講演情報
[O17-4]人工肛門造設を伴うロボット支援下直腸癌手術におけるoutlet obstructionのリスク因子と対策についての検討
越智 優, 平木 将之, 在田 麻美, 柳澤 公紀, 畑 泰司, 村田 幸平 (関西労災病院消化器外科)
【背景】近年の直腸癌手術においてロボット支援下手術の増加等に伴い,縫合不全のリスク軽減の目的で人工肛門造設が行われる症例も増加している.一方で人工肛門の合併症は多岐にわたり,これらの合併症は術後食事開始の遅延や入院期間の延長,術後の補助化学療法導入の遅延に影響する.outlet obstructionのリスク因子として年齢や性別,腹直筋の厚さ等様々な因子が報告されているが未だ一定の見解は得られていない.今回は人工肛門造設後のoutlet obstructionを予防することを目的にそのリスク因子を検討した.
【方法】2022年1月から2024年3月までに当院で直腸癌に対して人工肛門造設を伴うロボット支援下手術を施行した66症例を対象とした.outlet obstruction(Clavian Dindo≧GradeI)を認めた13例(OO群)と認めなかった53例(非OO群)の2群に分け,リスク因子について後方視的に解析した.
【結果】患者背景としてはOO群は有意に男性が多かった(p=0.022).2群間で手術因子および腫瘍因子に有意差は認めなかった.術後在院日数(p=0.0005),術後食事開始日数(p=0.0015)は優位にOO群で長かった.人工肛門に関連した因子では腹直筋の最も厚い箇所の厚さでは有意差は認めなかったが(p=0.36),人工肛門通過部位での腹直筋の厚さでは有意差を認めた(p=0.047).腹直筋からの人工肛門の腹直筋を通過する角度もOO群で有意に小さかった(p=0.0021).また腸管径と人工肛門の腹直筋を通過する箇所の孔の最短径の比も2群間で有意差を認めた(p=0.020).
【考察】当院においてはoutlet obstructionのリスク因子は男性,人工肛門通過部位での腹直筋の厚さ,腹直筋を通過する角度,人工肛門腸管径と腹直筋の孔の最短径との比であった.以上のリスク因子より人工肛門造設部位は腹直筋の薄い部位とし,腹直筋と可能な限り直交するよう,孔は大きめに開けて造設することが望ましいと考えられる.しかし,傍ストマヘルニア等の他の合併症との関連性もあり,今後さらなる症例集積による検討が必要である.
【方法】2022年1月から2024年3月までに当院で直腸癌に対して人工肛門造設を伴うロボット支援下手術を施行した66症例を対象とした.outlet obstruction(Clavian Dindo≧GradeI)を認めた13例(OO群)と認めなかった53例(非OO群)の2群に分け,リスク因子について後方視的に解析した.
【結果】患者背景としてはOO群は有意に男性が多かった(p=0.022).2群間で手術因子および腫瘍因子に有意差は認めなかった.術後在院日数(p=0.0005),術後食事開始日数(p=0.0015)は優位にOO群で長かった.人工肛門に関連した因子では腹直筋の最も厚い箇所の厚さでは有意差は認めなかったが(p=0.36),人工肛門通過部位での腹直筋の厚さでは有意差を認めた(p=0.047).腹直筋からの人工肛門の腹直筋を通過する角度もOO群で有意に小さかった(p=0.0021).また腸管径と人工肛門の腹直筋を通過する箇所の孔の最短径の比も2群間で有意差を認めた(p=0.020).
【考察】当院においてはoutlet obstructionのリスク因子は男性,人工肛門通過部位での腹直筋の厚さ,腹直筋を通過する角度,人工肛門腸管径と腹直筋の孔の最短径との比であった.以上のリスク因子より人工肛門造設部位は腹直筋の薄い部位とし,腹直筋と可能な限り直交するよう,孔は大きめに開けて造設することが望ましいと考えられる.しかし,傍ストマヘルニア等の他の合併症との関連性もあり,今後さらなる症例集積による検討が必要である.