講演情報
[PD8-8]当科におけるpStageIVc大腸癌の治療戦略
齊藤 健志, 小林 建司, 奥山 晃世, 加藤 龍太郎, 上野 修平, 今藤 裕之, 廣川 高久, 宮井 博隆, 山本 稔, 田中 守嗣, 木村 昌弘 (刈谷豊田総合病院)
【目的】腹膜播種を伴うpStageIVc大腸癌は予後不良ではあるが中には長期生存を認める症例がある.今回当科で手術した大腸癌pStageIVc症例を後方視的に分析し積極的に治療を行った方がよい症例を抽出する.【方法】2010年1月から2023年12月までに当科で施行した大腸癌手術症例2241例中腹膜播種のためにpStageIVcと診断された95例を対象に播種の程度,他臓器転移の有無,再燃の有無などを検討し長期生存例を検討する.【結果】pStageIVc大腸癌のうちP1,P2,P3で分けて生存曲線をKaplan-Meierで検討するとP1,P2,P3の生存日数の中央値(観察期間の中央値)はそれぞれ1244日,961日,332日とP1とP2とでは差はなくP3は有意に不良であった(p<0.001).そこで以下P1とP2症例(計62例)をM1c1(33例)とM1c2(29例)に分けて検討する.生存曲線をKaplan Meireで比較するとM1c1の中央値はNot reachでM1c2は409日と有意にM1c2は不良であった.腫瘍の局在(右側対左側),組織型,RAS status(約30%は不明),癌化学療法施行の有無には差はなく,再発の有無ではM1c2は27例がR2手術であったのに対しM1c1でのR2は11例のみでR1症例のうち10例が無再発生存で12例が再発はしているが再発例のうち3例の腹膜播種再発に対しては再切除を行い長期生存に寄与していた.【結論】pStageIVc大腸癌のうち播種以外に転移臓器がないP1P2症例はR1手術を目指す価値がありかつ再発時にも手術を含めた積極的治療が長期生存に結び付くと考える.