講演情報
[PD9-8]クローン病の手術例に対する生物学的製剤/分子標的薬剤による治療の影響
黒木 博介, 小金井 一隆, 辰巳 健志, 後藤 晃紀, 小原 尚, 中尾 詠一, 齋藤 紗由美, 杉田 昭 (横浜市立市民病院炎症性腸疾患科)
【背景】クローン病(CD)に対する生物学的製剤や分子標的薬剤(Bio/Sml)などの新規治療の登場によって手術率が低下したとされる.一方,これらの治療に抵抗を示す難治例に対し手術を要する症例が現存する.
【目的】CD外科治療例で術前に使用されたBio/Smlの影響を明らかにする.
【対象】自験CD初回腸管手術例87例を対象とした.CD診断年齢は23歳,手術時年齢は32歳,肛門病変は56例(64.6%)に合併していた.
【方法】Bio使用製剤は抗TNFα抗体製剤,抗IL12/23抗体製剤,抗α4β7インテグリン抗体製剤,JAK阻害薬とした.Bio/Sml開始時の病態,Bio/Sml開始から手術までの期間,手術適応となった病態,切除標本の病理学的所見について後方視的に検討した.
【結果】Bio/Sml開始時の病態は狭窄と瘻孔のない活動性病変が45例,狭窄24例,瘻孔12例(内瘻9例),肛門病変(その後腸管病変出現)6例であった.使用されたBio/Smlは1剤が69例,2剤が15例,3剤が3例であった.CD診断から手術までの期間は6.9年(1-31),Bio/Sml開始から手術までの期間は4年,手術理由は活動性病変2例,狭窄35例,瘻孔49例,痔瘻癌1例であった.Bio/Sml導入理由別に,Bio/Sml開始から手術までの期間は活動性病変5年,狭窄2.4年,瘻孔2.7年(,肛門病変4.7年で,狭窄,瘻孔合併例で短かった.手術適応となった病態は,活動性病変では活動性病変が1例(2.2%),狭窄が19例(42.2%),瘻孔24例(53.4%),痔瘻癌1例(2.2%),狭窄では狭窄が13例(54.1%),瘻孔11例(45.9%),瘻孔は狭窄1例(8.4%),瘻孔11例(91.6%)で,瘻孔合併例では手術時にも同様な病態の症例が多かった.切除標本の肉眼所見で活動性潰瘍を認めた症例は,狭窄形成術のみを施行した3例を除く84例中74例(88%)に認め,病理学的活動度は活動性なし10例,軽度24例,中等度30例,高度23例であった(すべて中央値).
【結語】クローン病に対する生物学的製剤や分子標的薬剤使用例では手術適応は活動性病変が少なく,狭窄,瘻孔が多くを占めた.また,多くの症例では活動性病変を有していた.治療開始時に狭窄や瘻孔を合併した症例では手術までの期間が短かく,特に,瘻孔合併例では手術時も治療開始時の病態が改善していない症例が多く,最初から手術を考慮してもよいと考えられた.
【目的】CD外科治療例で術前に使用されたBio/Smlの影響を明らかにする.
【対象】自験CD初回腸管手術例87例を対象とした.CD診断年齢は23歳,手術時年齢は32歳,肛門病変は56例(64.6%)に合併していた.
【方法】Bio使用製剤は抗TNFα抗体製剤,抗IL12/23抗体製剤,抗α4β7インテグリン抗体製剤,JAK阻害薬とした.Bio/Sml開始時の病態,Bio/Sml開始から手術までの期間,手術適応となった病態,切除標本の病理学的所見について後方視的に検討した.
【結果】Bio/Sml開始時の病態は狭窄と瘻孔のない活動性病変が45例,狭窄24例,瘻孔12例(内瘻9例),肛門病変(その後腸管病変出現)6例であった.使用されたBio/Smlは1剤が69例,2剤が15例,3剤が3例であった.CD診断から手術までの期間は6.9年(1-31),Bio/Sml開始から手術までの期間は4年,手術理由は活動性病変2例,狭窄35例,瘻孔49例,痔瘻癌1例であった.Bio/Sml導入理由別に,Bio/Sml開始から手術までの期間は活動性病変5年,狭窄2.4年,瘻孔2.7年(,肛門病変4.7年で,狭窄,瘻孔合併例で短かった.手術適応となった病態は,活動性病変では活動性病変が1例(2.2%),狭窄が19例(42.2%),瘻孔24例(53.4%),痔瘻癌1例(2.2%),狭窄では狭窄が13例(54.1%),瘻孔11例(45.9%),瘻孔は狭窄1例(8.4%),瘻孔11例(91.6%)で,瘻孔合併例では手術時にも同様な病態の症例が多かった.切除標本の肉眼所見で活動性潰瘍を認めた症例は,狭窄形成術のみを施行した3例を除く84例中74例(88%)に認め,病理学的活動度は活動性なし10例,軽度24例,中等度30例,高度23例であった(すべて中央値).
【結語】クローン病に対する生物学的製剤や分子標的薬剤使用例では手術適応は活動性病変が少なく,狭窄,瘻孔が多くを占めた.また,多くの症例では活動性病変を有していた.治療開始時に狭窄や瘻孔を合併した症例では手術までの期間が短かく,特に,瘻孔合併例では手術時も治療開始時の病態が改善していない症例が多く,最初から手術を考慮してもよいと考えられた.