講演情報
[P12-2-4]化学療法により長期生存が得られている腸間膜粘液線維肉腫術後再発の一例
尾崎 邦博1, 本田 真央1, 田尻 健亮1, 橋口 俊洋1, 西村 寛1, 林田 良三1, 藤田 文彦2 (1.大分県済生会日田病院外科, 2.久留米大学病院外科)
小腸腸間膜に発生した粘液線維肉腫の報告は,これまで検索した範囲で本症例が4例目である.我々は以前,本症例の術後再発に対する化学療法投与の状況を報告した.今回その後レジメンを変更しながら再発から54ヶ月が経過し長期生存を認めている症例を経験しているため報告する.症例は67歳,男性.腸間膜粘液線維肉腫の診断で小腸合併腸間膜腫瘍摘出術を施行し,術後補助化学療法は施行せず経過フォローとなっていた.術後3年目の定期検査にて,CTで腹腔内に小結節を数か所認め,腹膜転移を疑われた.診断と治療を兼ねて手術を施行した.術中所見で腹膜転移と思われる小結節を腹膜に数カ所認め,全ての摘出は困難であり,1カ所のみ診断目的で摘出した.術後病理で前回摘出した粘液線維肉腫と同じ所見を認めた.腸間膜粘液線維肉腫の再発と診断し,ドキソルビシンの投与を開始した.初回の効果判定ではPDであり,レジメンをエリブリンに変更した.初回の効果判定にてPRを認め,その後約2年間PRを維持した.その後PDとなりパゾパニブに変更した.有害事象により減量投与となったが,30ヶ月SDを維持している.これまでに消化管に関連した骨軟部腫瘍の報告は少ない.さらに非円形細胞肉腫の再発症例が化学療法により長期生存している報告も少なく貴重な症例である.