講演情報

[P1-1-3]大腸癌切除症例の術後合併症の予測におけるCharlson comorbidity indexの有用性

原 鐵洋1, 下村 学2, 安達 智洋3, 清水 亘3, 池田 聡4, 吉満 政義5, 香山 茂平1, 中原 雅浩6, 小林 弘典7, 河内 雅年8, 清水 洋祐9, 住谷 大輔10, 向井 正一朗11, 高倉 有二12, 石崎 康代13, 児玉 真也14, 藤森 正彦15, 石川 聖16, 髙橋 信也17, 大段 秀樹2 (1.JA広島総合病院, 2.広島大学病院消化器・移植外科学, 3.広島市立北部医療センター安佐市民病院, 4.県立広島病院, 5.広島市立広島市民病院, 6.JA尾道総合病院, 7.広島記念病院, 8.東広島医療センター, 9.呉医療センター中国がんセンター, 10.JR広島病院, 11.中国労災病院, 12.中電病院, 13.広島西医療センター, 14.吉田総合病院, 15.呉医師会病院, 16.済生会呉病院, 17.広島大学病院外科学)
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はじめに:Charlson comorbidity index(以下,CCI)は1987年にCharlsonらによって提唱された短期的な死亡リスクを評価する指標であり,現在でも併存症の評価指標として汎用されている.本研究の目的は,医療状況が変化した現在の大腸癌手術症例における,合併症の予測因子としてのCCIの意義を検討することである.
 方法:多施設大腸癌データベースを用いて2017年4月から2019年12月に初発大腸癌に対して治癒切除が施行された2719例(StageIVを除く)を後方視的に解析した.術前評価(性別,年齢,BMI,ASA-PS,PS,抗凝固療法,換気障害,透析,CEA,CA19-9),栄養指標(CRP/Albumin Ratio(以下,CAR),Neutrophile/Lymphocyte Ratio,Platelet/Lymphocyte Ratio,Prognostic Nutritional Index)や術中所見(腫瘍部位,術式,リンパ節郭清度,手術時間,出血量,輸血,ストマ造設など),病理所見(組織型,T因子,N因子)に併せてCCIについて名義ロジスティック回帰分析を用い,術後合併症発生の危険因子を解析した.CCIは0-1,2以上で分類した.
 結果:全年齢では年齢高値(p=0.004),CAR高値(p=0.01),N因子陽性(p=0.0001),CCI高値(p値=0.008)が術後合併症の独立した危険因子として抽出された.年齢別に区分すると80歳未満ではN因子陽性(p<.0001),CCI高値(p=0.047)が,80歳以上ではCCI高値(p=0.04)が独立した危険因子だった.一方で,重篤な合併症であるClavien-Dindo分類Grade3以上の合併症の危険因子としてCCIは抽出されなかった.
 結語:CCIは全合併症発生の独立した危険因子であり,近年重要視される栄養指標よりも重要な合併症の予測指標である可能性が示唆され,年齢に関わらず危険因子であった.一方で重篤な術後合併症を予測することは困難であった.