講演情報
[O21-6]下部直腸癌手術後長期の排便排尿障害に術前機能が及ぼす影響
代田 利弥, 吉敷 智和, 磯部 聡史, 金 翔哲, 本多 五奉, 若松 喬, 麻生 喜祥, 飯岡 愛子, 小嶋 幸一郎, 須並 英二 (杏林大学病院下部消化管外科)
【はじめに】下部直腸切除後の排便機能障害は高頻度に発生し多くの報告がされているが,結腸切除術後の排便障害も少なからず報告されている.
【目的】大腸癌術後の排便排尿機能障害を経時的に評価した.
【対象】2022年4月から2023年12月までに当院で大腸癌手術を施行されR0,術前後の機能評価が施行された21例を対象とした.
吻合部が腹膜翻転部より口側群(A群),肛門側群(B群)とした.
【方法】機能評価はアンケート形式で術前,術後9-12か月に低位前方切除術後症候群スコア(LARS Score),直腸癌術後の便失禁によるQOLへの影響を把握する質問票スコア(mFIQL Score),国際前立腺症状スコア(IPSS)を調査した.
年齢,性別,臨床病理学的因子でLARS Score,mFIQL,IPSSを評価した.
【結果】症例はA群が14例(男性4例,女性10例),年齢は73歳(中央値:62-90)であった.B群が7例(男性3例,女性4例),年齢は60歳(中央値:48-67)であった.
A群の腫瘍部位はC/A/T/D/S/RS/Ra:2/4/1/0/3/4例であった.術式はA群で回盲部切除術5例,右半結腸切除術1例,横行結腸切除術1例,S状結腸切除術2例,高位前方切除術5例であった.B群でLAR4例,uLAR2例,ISR1例であった.
全症例の比較でT4以深の症例は術前のmFIQLS>50が有意に多かった(P=0.048).
他,臨床病理学的な比較では有意差を認める項目は認めなかった.
A群では軽症,重症LARSが術前6例(43%)に認め,術後9-12か月では5例(36%)に認めた.B群では軽症,重症LARSは術前3例(50%)に認め,術後6例に認めたが有意差は認めなかった(P=0.068).
術前後でLARS Score,mFIQLS,IPSSは正の相関を認めていた(LASR Score:相関係数0.405 P=0.049,mFIQLS:相関係数0.697 P<0.001,IPSS:相関係数0.937 P<0.001).
【考察】結腸切除でLARS様の症例を認めた.
文献的には左側結腸では手術による神経の遮断,右側結腸ではバウヒン弁や右側結腸の広範囲な切除で排便障害が起きる可能性が考えられる.
今回の研究では結腸上部直腸手術と下部直腸手術の比較で排便排尿機能障害は有意差を認めなかった.
術前後のスコアが正の相関であり,機能障害の原因は手術に加えて術前の機能の影響も大きいと考えられた.
【目的】大腸癌術後の排便排尿機能障害を経時的に評価した.
【対象】2022年4月から2023年12月までに当院で大腸癌手術を施行されR0,術前後の機能評価が施行された21例を対象とした.
吻合部が腹膜翻転部より口側群(A群),肛門側群(B群)とした.
【方法】機能評価はアンケート形式で術前,術後9-12か月に低位前方切除術後症候群スコア(LARS Score),直腸癌術後の便失禁によるQOLへの影響を把握する質問票スコア(mFIQL Score),国際前立腺症状スコア(IPSS)を調査した.
年齢,性別,臨床病理学的因子でLARS Score,mFIQL,IPSSを評価した.
【結果】症例はA群が14例(男性4例,女性10例),年齢は73歳(中央値:62-90)であった.B群が7例(男性3例,女性4例),年齢は60歳(中央値:48-67)であった.
A群の腫瘍部位はC/A/T/D/S/RS/Ra:2/4/1/0/3/4例であった.術式はA群で回盲部切除術5例,右半結腸切除術1例,横行結腸切除術1例,S状結腸切除術2例,高位前方切除術5例であった.B群でLAR4例,uLAR2例,ISR1例であった.
全症例の比較でT4以深の症例は術前のmFIQLS>50が有意に多かった(P=0.048).
他,臨床病理学的な比較では有意差を認める項目は認めなかった.
A群では軽症,重症LARSが術前6例(43%)に認め,術後9-12か月では5例(36%)に認めた.B群では軽症,重症LARSは術前3例(50%)に認め,術後6例に認めたが有意差は認めなかった(P=0.068).
術前後でLARS Score,mFIQLS,IPSSは正の相関を認めていた(LASR Score:相関係数0.405 P=0.049,mFIQLS:相関係数0.697 P<0.001,IPSS:相関係数0.937 P<0.001).
【考察】結腸切除でLARS様の症例を認めた.
文献的には左側結腸では手術による神経の遮断,右側結腸ではバウヒン弁や右側結腸の広範囲な切除で排便障害が起きる可能性が考えられる.
今回の研究では結腸上部直腸手術と下部直腸手術の比較で排便排尿機能障害は有意差を認めなかった.
術前後のスコアが正の相関であり,機能障害の原因は手術に加えて術前の機能の影響も大きいと考えられた.