講演情報

[P1-2-5]大腸手術の消化管ストーマ保有者における在院期間短縮への課題

小山 基, 阿部 由督, 岩崎 健一, 北村 謙太, 松村 知憲, 薄井 信介, 小出 紀正, 佐藤 好信, 諏訪 達志 (柏厚生総合病院消化器外科)
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急性期病棟では術後在院期間の短縮化が図られている一方で,ストーマ関連合併症や退院後ストーマケアのために在院期間が長期化する場合もある.今回,大腸手術のストーマ保有者における術後の在院期間短縮への問題点を明らかにする.【対象と方法】2014年1月から2022年12月に当院で造設した消化管ストーマ165例のうち,原疾患による死亡退院21例と入院中のストーマ閉鎖3例を除いた症例は141例であった.術後入院期間が60日以上となった30例(21.3%)を対象として,背景因子(年齢,性別,ADL・PSや認知機能,原疾患と手術内容,ストーマ関連合併症,自宅退院の有無など)や在院期間が長期化した要因について検討する.観察研究であり,電子カルテを用いて後ろ向きに研究した.【結果】男性17例・女性13例で,平均年齢79.2歳(60-90歳).PS2-4は術前15例・術後21例で,ADLは要介助が術前10例・術後20例.日常生活自立度の認知IIa以上は術前7例・術後16例で,障害A2以上は術前17例・術後23例.原疾患は悪性15例・良性15例で,緊急手術は19例であり,腸管穿孔などの腹膜炎手術は14例.ストーマ部位は結腸22例・小腸8例.形態は単孔式24例・双孔式6例で,一時的8例・永久的22例.ストーマ関連合併症Grade2以上は13例で,壊死などの再手術は3例.ストーマケア自立は6例で,便破棄のみ自立は9例,自立なしは15例.退院先は自宅21例・施設6例・療養型病院3例であり,自宅退院21例のうち14例は訪問看護などサービスを利用.退院長期化の要因としては,原疾患の治療19例,ストーマ合併症の治療5例,全身状態の退院調整17例,ストーマケア関連の退院調整9例であった(重複含む).【考察】腸管穿孔・腹膜炎などの緊急手術例が多く,原疾患や全身合併症の影響や術後全身状態悪化による退院調整が長期入院の大きな要因となっている.一方でストーマ関連合併症やストーマケアが長期入院の原因となった症例も少なからず存在している.術前の全身状態や原疾患の病状を考慮して,術前または術後早期より多職種で連携し,ストーマケアに対するサポート体制を整えることが必要である.