講演情報
[P20-1-5]一時的人工肛門閉鎖術におけるアプローチ法の有効性について
筋野 博喜, 笠原 健大, 林 くらら, 小坂 亜優, 福島 元太郎, 有働 竜太郎, 田子 友哉, 真崎 純一, 石崎 哲央, 永川 裕一 (東京医科大学消化器小児外科学分野)
[背景] 直腸癌術後を中心とした一時的人工肛門閉鎖術は基本的な手術手技であるが,その手技についてのエビデンスは乏しい.当院では腸管剥離の過程において早期に腸管を露出し腸管ガイドに剥離する経腸管壁アプローチ手法を導入した.当アプローチ法に関しての治療成績について,また当院におけるSSIのリスク因子に関して比較・検討した.
[対象・方法] 2017年7月から2023年4月の期間に当院で直腸癌術後の一時的回腸人工肛門に対して人工肛門閉鎖術閉鎖術を行った126例を対象とした.
治療成績の評価項目として手術時間,出血量,術後在院日数,術後WBC数,術後CRP,術後合併症(SSI,イレウス)とした.またSSIのリスク因子の評価にはこれらの項目に加え,免疫栄養系バイオマーカーであるNLR,LMR,PLR,PNIを加え後方視的に検討した.
[結果]当アプローチ法は経腹直筋アプローチ法と比較し,手術時間・出血量・SSI発生率は優位に低下した.また,SSIのリスク因子に関しての解析では,単変量解析において,出血量・アプローチ方法・PNIに有意差を認めた.多変量解析においてはアプローチ方法(OR:15.5,95%CI:1.480-163.0,P:0.0223)とPNI(OR:15.1,95%CI:2.87-79.5,P:0.001)が独立したSSI発生のリスク因子となった.
[結論] 経腸管壁アプローチはSSI,手術時間,出血量の減少に寄与できると示唆される.また,経腸管アプローチ法とPNIはSSI発症の予測因子として有用である可能性が示唆された.
[対象・方法] 2017年7月から2023年4月の期間に当院で直腸癌術後の一時的回腸人工肛門に対して人工肛門閉鎖術閉鎖術を行った126例を対象とした.
治療成績の評価項目として手術時間,出血量,術後在院日数,術後WBC数,術後CRP,術後合併症(SSI,イレウス)とした.またSSIのリスク因子の評価にはこれらの項目に加え,免疫栄養系バイオマーカーであるNLR,LMR,PLR,PNIを加え後方視的に検討した.
[結果]当アプローチ法は経腹直筋アプローチ法と比較し,手術時間・出血量・SSI発生率は優位に低下した.また,SSIのリスク因子に関しての解析では,単変量解析において,出血量・アプローチ方法・PNIに有意差を認めた.多変量解析においてはアプローチ方法(OR:15.5,95%CI:1.480-163.0,P:0.0223)とPNI(OR:15.1,95%CI:2.87-79.5,P:0.001)が独立したSSI発生のリスク因子となった.
[結論] 経腸管壁アプローチはSSI,手術時間,出血量の減少に寄与できると示唆される.また,経腸管アプローチ法とPNIはSSI発症の予測因子として有用である可能性が示唆された.