講演情報
[VPD4-7]直腸脱経肛門手術に経腟固定を付加した場合の成績
赤木 一成1, 浜畑 幸弘1, 鈴木 綾1, 鈴木 優之2 (1.辻仲病院柏の葉骨盤臓器脱センター, 2.前田病院)
背景
当院では直腸脱経肛門手術として,Delorme法,Altemeier法,三輪Gant法などを行ってきた.
ただし経肛門手術は,一定頻度で再発があり,重症例への対応が難しく,術後出血や狭窄が起こりうるという短所がある.
直腸脱には高頻度で骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)を合併する.
このようなケースで直腸脱のみ修復したら,骨盤臓器脱が軽症であっても,あとで骨盤臓器脱が大きく脱出してくることがあるため,当院では骨盤臓器脱も同時に修復しておく方針としている.
かつてこのようなケースでは,直腸脱経肛門手術と同時に,骨盤臓器脱にTVM手術(経腟メッシュ手術)を行っていたが,このとき直腸脱の再発が少ないことが観察されていた(19例中直腸脱再発1例.女性骨盤底医学会2014にて発表).
TVM手術では直腸前壁にメッシュが留置され,仙棘靭帯を通ったメッシュアームで挙上されるため,ventral rectopexyのような状態となり,直腸脱が再発しにくいものと推察された.
その後骨盤臓器脱手術の技術が進化し,経腟手術では全例メッシュを使わずに治せるようになった.直腸脱+骨盤臓器脱の症例では,直腸脱経肛門処理を最小限にとどめ,仙棘靭帯に固定した非吸収糸を直腸前壁に固定することで支持力の補強を行うようになった.
対象
2019年~2023年の間に施行した,完全直腸脱+骨盤臓器脱の65例が対象.
直腸脱に対する処理は,出血や狭窄を回避するため,「最小限の粘膜切除縫縮」および「合併する痔核成分に対する硬化療法」程度にとどめた.
同時に骨盤臓器脱に対し,当院で日常的に行っている「メッシュを用いない経腟手術」を行った.このとき左右の仙棘靭帯に非吸収糸を固定するが,この糸の一部を直腸前壁に縫い付け支持力の補強とした.
結果
術後出血無し.狭窄無し.現時点で直腸脱の再発は2例(再発率3.0%).
考察
直腸脱経肛門手術に対し,経腟補強を付加することの有用性が示唆された.
当院では直腸脱経肛門手術として,Delorme法,Altemeier法,三輪Gant法などを行ってきた.
ただし経肛門手術は,一定頻度で再発があり,重症例への対応が難しく,術後出血や狭窄が起こりうるという短所がある.
直腸脱には高頻度で骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)を合併する.
このようなケースで直腸脱のみ修復したら,骨盤臓器脱が軽症であっても,あとで骨盤臓器脱が大きく脱出してくることがあるため,当院では骨盤臓器脱も同時に修復しておく方針としている.
かつてこのようなケースでは,直腸脱経肛門手術と同時に,骨盤臓器脱にTVM手術(経腟メッシュ手術)を行っていたが,このとき直腸脱の再発が少ないことが観察されていた(19例中直腸脱再発1例.女性骨盤底医学会2014にて発表).
TVM手術では直腸前壁にメッシュが留置され,仙棘靭帯を通ったメッシュアームで挙上されるため,ventral rectopexyのような状態となり,直腸脱が再発しにくいものと推察された.
その後骨盤臓器脱手術の技術が進化し,経腟手術では全例メッシュを使わずに治せるようになった.直腸脱+骨盤臓器脱の症例では,直腸脱経肛門処理を最小限にとどめ,仙棘靭帯に固定した非吸収糸を直腸前壁に固定することで支持力の補強を行うようになった.
対象
2019年~2023年の間に施行した,完全直腸脱+骨盤臓器脱の65例が対象.
直腸脱に対する処理は,出血や狭窄を回避するため,「最小限の粘膜切除縫縮」および「合併する痔核成分に対する硬化療法」程度にとどめた.
同時に骨盤臓器脱に対し,当院で日常的に行っている「メッシュを用いない経腟手術」を行った.このとき左右の仙棘靭帯に非吸収糸を固定するが,この糸の一部を直腸前壁に縫い付け支持力の補強とした.
結果
術後出血無し.狭窄無し.現時点で直腸脱の再発は2例(再発率3.0%).
考察
直腸脱経肛門手術に対し,経腟補強を付加することの有用性が示唆された.