講演情報

[SY1-2]潰瘍性大腸炎における化生性変化と潰瘍性大腸炎関連腫瘍の内視鏡診断

冨岡 明, 千谷 菜花, 成松 和幸, 東山 正明, 高本 俊介, 冨田 謙吾, 穂苅 量太 (防衛医科大学校病院消化器内科)
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【背景と目的】
慢性炎症による化生性変化は各臓器で生じ,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis,以下UC)においても左側結腸のパネート細胞化生が出現するが,内視鏡によるパネート細胞化生の検出方法については不明である.本研究の目的は,内視鏡によるパネート細胞化生の検出が可能かを明らかにし,UC関連腫瘍との関連を明らかにすることである.
【方法】
当院で下部消化管内視鏡検査を受けたUC患者を対象とし,パネート細胞化性検出における感度,特異度を算出し,UC関連腫瘍との関連性についても後方視的に検討した.生検検体を用いて,腫瘍関連分子発現についても検索する.
【結果】
内視鏡によるパネート細胞化生検出における感度,特異度は80%以上と良好な診断能であり,UC関連腫瘍と有意に関連があった.パネート細胞化生と診断した領域内の生検検体を用いて,RT-PCRでパネート細胞に特異的な遺伝子発現の増加を認めた.パネート細胞化生の内視鏡的検出と同じ手法でUC関連腫瘍についても質的診断,範囲診断が可能な病変を認めた.
【結論】
内視鏡によるUCの化生性変化は診断可能であり,UC関連腫瘍のリスクの可能性がある.