講演情報
[P21-1-7]仙骨合併切除を伴う腹腔鏡下経仙骨腹式直腸切断術における超音波フュージョン技術を用いた仙骨骨切り平面同定法
田口 航大1, 須田 竜一郎1, 嶋田 諭2, 塚谷 崇2, 柳澤 真司1, 片岡 雅章1, 西村 真樹1, 小林 壮一1, 岡庭 輝1, 中臺 英里1, 大野 幸恵1, 藤野 真史1, 石神 恵美1, 山田 英幸1, 進藤 博俊1, 近藤 尚1, 瀧口 翔太1, 年光 亜水1, 白石 健太1, 海保 隆1 (1.国保直営総合病院君津中央病院外科, 2.国保直営総合病院君津中央病院放射線技術科)
【はじめに】仙骨浸潤を伴う局所進行直腸癌に対する仙骨骨切りは,切離断端距離の確保と合併症低減の両立が求められる高難易度の治療手技である.高難度である理由の一つは,術前に画像で設定した骨切り平面と,術中の骨切り平面を再現性高く一致させる手法が確立されていないことが挙げられる.今回,超音波fusion技術を用いた仙骨骨切り平面同定法を開発し,腹腔鏡下経仙骨腹式直腸切断術において臨床応用した症例を経験したため,その有用性と課題について報告する.【症例】77歳女性.直腸Rb癌(cT4〔仙骨〕N1M0,穿孔あり)と診断.既往歴は虫垂炎術後,二次性下垂体機能低下症(下垂体腺腫摘出後),両側股関節置換後,転移性肺腫瘍術後,廃用症候群.腹腔鏡下横行結腸双孔式人工肛門造設術を施行したのち,術前放射線化学療法を施行し部分奏功判定となった.切離断端距離を確保した外科的切除には,S4以下仙骨合併切除を伴う腹腔鏡下仙骨腹式直腸離断術が必要と考えられた.【方法】根治手術時の仙骨骨切り体位と同姿勢のjack-knife位で造影CT(GE社製,Revolution CT,2.5mm slice)と,MRI(GE社製,Discovery 750W 3.0T,T2WI)を撮像した.これらのDICOMデータは超音波装置(Philips製,EPIQ Elite)に読み込ませた.超音波fusion検査時は,Jack-knife位とし,尾骨先端・外側仙骨稜・仙骨角・坐骨結節で位置合わせ及び補正を行った.磁場発生器から構築される空間的位置情報を,探触子の位置センサが検出することで,US画像とCT・MR画像をリアルタイムに同期表示させた.探触子の位置・方向を腫瘍からの断端距離が十分確保され,かつ主要血管に重ならないように設定し,想定骨切り平面とした.探触子の位置をマーキングし,体表からの角度を記録した.手術当日はマーキング部位とOscillatorを一致させ,想定骨切り平面で骨切りを行った.砕石位へ体位を変換し,上方向郭清を行ったのち,会陰創より標本を摘出した.会陰創は遊離筋皮弁再建を行った.【まとめ】仙骨骨切りに際し,超音波fusion技術を応用することにより,再現性・客観性をもった骨切り平面の同定が可能であった.今後の症例集積により,さらなる有用性と課題と検討する必要がある.