講演情報
[PD5-3]大腸癌内視鏡治療後の外科的追加切除症例において手術待機期間が予後に及ぼす影響:傾向スコアマッチングによる解析
木内 純, 有田 智洋, 清水 浩紀, 名西 健二, 中林 雄大, 今村 泰輔, 山本 有祐, 小西 博貴, 森村 玲, 塩﨑 敦, 窪田 健, 藤原 斉 (京都府立医科大学消化器外科)
【背景】早期大腸癌に対する内視鏡的治療後に,しばしば外科的追加切除を要することがあるが,追加切除までの待機期間が生じることによる腫瘍学的な影響についての報告は少ない.
【対象と方法】2008年から2020年に深達度cT1と診断され当科で手術を施行した大腸癌305例を対象とした.内視鏡的切除後に外科的追加切除を施行した群(追加切除群)と,内視鏡的治療を行わずに手術を施行した群(手術単独群)に分けて傾向スコアマッチングを用いて後方視的に検討した.
【結果】1)追加切除群は83例(うちEMR施行45例,ESD施行38例),手術単独群は222例であった.臨床項目では年齢75歳以上,右側結腸病変,腫瘍最大径≧20mm,術後合併症ありが有意に手術単独群に多かった(それぞれp=0.003,p=0.004,p<0.001,p=0.013).手術後の病理学的評価では深達度pT2以深,リンパ節転移pN1以上が有意に手術単独群に多かった(それぞれp<0.0001,p=0.0123).2)単変量解析で両群間に有意差を認めた各因子で傾向スコアマッチングを行い,追加切除群66例(うちEMR後35例,ESD後31例),手術単独群66例を比較検討した.追加切除群にLy+,V+が有意に多かった(それぞれp=0.015,p=0.025).追加切除66例中13例(19.7%)で癌遺残を認めた.全生存期間や無再発生存期間に関して,両群で有意差は認めなかった.3)追加切除群で手術までの待機期間は中央値68日であった.68日をカットオフとして,待機期間が長い群と短い群で比較したが,全生存期間,無再発生存期間ともに有意差は認めなかった.
【結語】早期大腸癌に対する内視鏡治療後に外科的追加切除を要する場合,手術までの待機期間が生じることは腫瘍学的予後の悪化には寄与しない.
【対象と方法】2008年から2020年に深達度cT1と診断され当科で手術を施行した大腸癌305例を対象とした.内視鏡的切除後に外科的追加切除を施行した群(追加切除群)と,内視鏡的治療を行わずに手術を施行した群(手術単独群)に分けて傾向スコアマッチングを用いて後方視的に検討した.
【結果】1)追加切除群は83例(うちEMR施行45例,ESD施行38例),手術単独群は222例であった.臨床項目では年齢75歳以上,右側結腸病変,腫瘍最大径≧20mm,術後合併症ありが有意に手術単独群に多かった(それぞれp=0.003,p=0.004,p<0.001,p=0.013).手術後の病理学的評価では深達度pT2以深,リンパ節転移pN1以上が有意に手術単独群に多かった(それぞれp<0.0001,p=0.0123).2)単変量解析で両群間に有意差を認めた各因子で傾向スコアマッチングを行い,追加切除群66例(うちEMR後35例,ESD後31例),手術単独群66例を比較検討した.追加切除群にLy+,V+が有意に多かった(それぞれp=0.015,p=0.025).追加切除66例中13例(19.7%)で癌遺残を認めた.全生存期間や無再発生存期間に関して,両群で有意差は認めなかった.3)追加切除群で手術までの待機期間は中央値68日であった.68日をカットオフとして,待機期間が長い群と短い群で比較したが,全生存期間,無再発生存期間ともに有意差は認めなかった.
【結語】早期大腸癌に対する内視鏡治療後に外科的追加切除を要する場合,手術までの待機期間が生じることは腫瘍学的予後の悪化には寄与しない.