講演情報
[PD2-5]深層学習を用いた直腸癌の術前リンパ節転移診断能向上への挑戦
大内 晶1, 岩堀 祐之2, 鈴木 康介3, 舟橋 健司3, 福井 真二4, 小森 康司1, 木下 敬史1, 佐藤 雄介1, 清水 泰博1 (1.愛知県がんセンター消化器外科部, 2.中部大学工学部情報工学科, 3.名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻, 4.愛知教育大学情報教育講座)
【背景】直腸癌のリンパ節転移診断はこれまでMRI,CT,PET-CTの有用性が報告されてきたが,その正診率は未だ満足のいくものではない.我々は以前より深層学習を用いた医用画像解析により,直腸癌リンパ節転移診断能の向上に取り組んできた.
【目的】深層学習を用いた直腸癌の術前リンパ節転移診断能向上のための,これまでの試みとこれからの挑戦を報告する.
【方法・結果】本シリーズでは当院で側方郭清の適応となった52人の下部直腸癌患者の術前CT画像から抽出した762個のリンパ節画像データを用い,リンパ節転移診断の学習と検証を行った.①当初はU-Netファミリーを用いてCT画像からのリンパ節の検出およびその転移診断を同時に行うことを試みたが,リンパ節の検出力を上げることができなかったため検出できなかった転移陽性リンパ節を見落としてしまう可能性が憂慮された.②そのため以降は検出を手動で行い転移診断のみAIで行う方針とし,super-resolution convolutional neural network(SRCNN)を用いた超解像および3D SlicerのGrow from seed セグメンテーション機能による三次元形状化を用いたデータ拡張により,3D CNNモデルを用いて比較的少数のサンプルから良好な診断能を得ることができた(precision 0.973,recall 0.964)(DCR 2024).③さらなる診断能の向上には,enhanced super-resolution generative adversarial networks(ESRGAN)を用いた超解像や(SRCNN recall 0.782→ESRGAN recall 0.801),生成データ(AIでリンパ節画像を新たに生成する)を用いたデータ拡張が有用である可能性が示唆された(単純データ拡張500枚 recall 0.666→生成データ拡張2000枚 recall 0.800).④前述の結果を元に最も診断能が期待されるAIリンパ節転移診断モデルを選択し,直腸癌リンパ節転移に対するAI画像診断の妥当性を術前診断+バックアップ郭清で検証する前向き観察研究を準備中である.
【結語】直腸癌の術前リンパ節転移診においても深層学習を用いたAI画像診断は有望な手法である.引き続き前向き観察研究でその妥当性を検証していく.
【謝辞】本研究の一部は科研費基盤C(24K15019)および中部大学研究費による.
【目的】深層学習を用いた直腸癌の術前リンパ節転移診断能向上のための,これまでの試みとこれからの挑戦を報告する.
【方法・結果】本シリーズでは当院で側方郭清の適応となった52人の下部直腸癌患者の術前CT画像から抽出した762個のリンパ節画像データを用い,リンパ節転移診断の学習と検証を行った.①当初はU-Netファミリーを用いてCT画像からのリンパ節の検出およびその転移診断を同時に行うことを試みたが,リンパ節の検出力を上げることができなかったため検出できなかった転移陽性リンパ節を見落としてしまう可能性が憂慮された.②そのため以降は検出を手動で行い転移診断のみAIで行う方針とし,super-resolution convolutional neural network(SRCNN)を用いた超解像および3D SlicerのGrow from seed セグメンテーション機能による三次元形状化を用いたデータ拡張により,3D CNNモデルを用いて比較的少数のサンプルから良好な診断能を得ることができた(precision 0.973,recall 0.964)(DCR 2024).③さらなる診断能の向上には,enhanced super-resolution generative adversarial networks(ESRGAN)を用いた超解像や(SRCNN recall 0.782→ESRGAN recall 0.801),生成データ(AIでリンパ節画像を新たに生成する)を用いたデータ拡張が有用である可能性が示唆された(単純データ拡張500枚 recall 0.666→生成データ拡張2000枚 recall 0.800).④前述の結果を元に最も診断能が期待されるAIリンパ節転移診断モデルを選択し,直腸癌リンパ節転移に対するAI画像診断の妥当性を術前診断+バックアップ郭清で検証する前向き観察研究を準備中である.
【結語】直腸癌の術前リンパ節転移診においても深層学習を用いたAI画像診断は有望な手法である.引き続き前向き観察研究でその妥当性を検証していく.
【謝辞】本研究の一部は科研費基盤C(24K15019)および中部大学研究費による.