講演情報

[P12-1-5]当院における超高齢者大腸癌患者に対するロボット支援手術の短期成績

岩田 乃理子, 塚本 史雄, 金原 正太朗, 中田 豊, 遠藤 晴久, 荻谷 一男, 中島 康晃, 佐伯 伊知郎, 高橋 定雄 (江戸川病院)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景・目的】
大腸癌患者は年々増加傾向にあり,かつ高齢化してきている.ロボット支援手術をはじめとした低侵襲手術の進歩は目覚ましいが,高齢患者におけるエビデンスは未だ少ない.当院は2020年に直腸癌,2022年に結腸癌に対しロボット支援手術を導入し2024年4月までに188例を施行,内1割にあたる22例が85歳以上の超高齢者であった.当院における超高齢者大腸癌に対するロボット支援手術の短期成績を検討し,高齢者に対する低侵襲手術の有用性・安全性を検討した.
 【対象・方法】2020年4月から2024年4月に85歳以上の原発性大腸癌に対し施行したロボット支援手術22例の短期成績を検討した.また,同時期にロボット支援手術を施行した85歳未満大腸癌患者の短期成績と比較検討した.
 【結果】患者背景は年齢中央値87(85-93)歳,BMI中央値22.0(17.6-31.1)kg/m2,男女比:11:11,術式は,回盲部切除術5例,結腸右半切除術2例,S状結腸切除術2例,低位前方切除術6例,直腸切断術4例,ハルトマン手術3例であった.直腸癌手術時間中央値286(211-388)分,出血量中央値15(0-170)ml,結腸癌手術時間中央値185(116-309)分,出血量中央値2(0-55)mlであった.術後合併症はClavien-Dindo分類GradeII以上は骨盤死腔炎(GradeIIIa)1例のみであった.術後在院日数中央値は直腸癌12(6-20)日,結腸癌6日(4-44日)であった.開腹移行や縫合不全はなかった.85歳未満ロボット支援大腸癌手術群と比較し,直腸癌で手術時間が有意に長かったが(286分vs 239分 p=0.023),出血量や術後合併症に有意差はなかった.直腸癌は超高齢者において永久人工肛門造設を伴う術式が有意に多く(p=0.013),術後在院日数が長い傾向にあった(12日vs 7日 p=0.05).結腸癌は全ての項目で有意差なかった.組織が脆弱でより繊細な操作が必要な高齢大腸癌患者の手術において,ロボット特有の手振れの少ない安定した手技が利点を発揮することが期待できると考える.
【結論】超高齢者大腸癌に対するロボット支援手術の短期成績は良好であり安全に行うことができた.